理学療法 - 臨床・研究・教育
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研究と報告
足部に対する摩擦力が完全対麻痺者の長坐位push up動作に与える影響について
川口 桂蔵杉山 真理山崎 大石崎 耕平武川 真弓
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キーワード: 完全対麻痺, push up, 摩擦力
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2009 年 16 巻 1 号 p. 35-40

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抄録
完全対麻痺者にとってpush upは,日常生活活動(ADL)の自立度を高める重要な動作である。今回,長坐位push upは足部下の摩擦力に大きく影響を受けていると考え,上肢機能に問題のない完全対麻痺者5名に対し,足部下をA)靴下のみ,B)靴下+スライディングシート,C)裸足+滑り止めマット,という環境でpush upを行った。この時の殿部最大挙上の保持時間,殿部最大挙上距離,殿部最大挙上時の身体各部位の屈曲角度を求め,Aを基準としB・Cと比較した。その結果,Bでは,push up時に足部の引き込みが可能であり体幹・股関節を屈曲させ身体を前方に回転する動作パターン,Cでは体幹・股関節屈曲角は減少し,肩甲骨下制により殿部挙上させる動作パターンが生じた。したがって,足部下の環境はpush upの動作パターンを変化させる要因となるため,十分に配慮する必要があると考える。
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© 2009 社団法人 埼玉県理学療法士会
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