理学療法 - 臨床・研究・教育
Online ISSN : 1880-8948
Print ISSN : 1880-893X
ISSN-L : 1880-893X
研究と報告
NIH Stroke Scaleを用いた早期転帰予測の可能性について
上野 貴大荻野 雅史堀切 康平松谷 実榎本 陽介塚田 陽一強瀬 敏正青木 恭兵富井 美妃中浦 由美子野内 宏之高松 浩菊池 隼齊藤 理恵
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 17 巻 1 号 p. 31-36

詳細
抄録

当院は脳卒中急性期病院として機能するために,ゲートキーパーとしての役割を果たすことが求められ,我々理学療法士も急性期医療チームの一員として転帰予測への関与が求められる。このことより,急性期における早期転帰予測方法の検討の必要性に迫られた。その方法の一つとして,NIH Stroke Scale(以下NIHSS)を用いた早期転帰予測を考察した。当院入院患者の転帰調査結果から,理学療法初回介入時NIHSSを用いた重症度分類により分類された軽症例群では自宅退院,中等度,重症例群では他院転院という転帰予測が可能と考えられた。また,初回介入時NIHSSと在院日数との間に高い正の相関が認められ,初回介入時NIHSSによる在院日数の予測は可能と考えられた。在院日数の予測が可能と考えられたことから,回復期病院のみならず,維持期病院,施設等への直接移行も視野に入れた更に詳細な転帰予測が可能となると考えられる。今後,初回介入時NIHSSによる重症度分類の細分化を行うことで,更なる予測精度の向上が見込まれ,実用化が可能と考えられる。

著者関連情報
© 2010 社団法人 埼玉県理学療法士会
前の記事 次の記事
feedback
Top