2010 年 17 巻 1 号 p. 37-41
近年,装具療法は運動回復に効果を上げる機能障害に対するアプローチとして有効とされている。理学療法士が最も関わるプラスチック短下肢装具(以下PAFO)は,作製後の角度変更が困難であり処方には苦慮する。今回,PAFOの前額面における下腿軸アライメントの違いが片脚立位時の重心動揺とその姿勢に与える影響を,裸足,下腿軸が内転位のPAFO,下腿軸が外転位のPAFOの3種類で比較した。結果から裸足と内転位のPAFOは重心動揺,片脚立位姿勢共にほぼ同様となった。これに対し,外転位のPAFOでは片脚立位時の重心動揺は大きい値を示し,片脚立位姿勢についても骨盤や体幹の代償動作を認めた。このことから,前額面における下腿軸アライメントの違いにより,重心動揺や骨盤,体幹アライメントに影響を与えることが推察された。脳卒中片麻痺患者の装具療法においては,前額面にも着目する必要があり,歩行評価や三次元的アライメント,装具採型時における採型肢位,角度設定などの評価が必要と考える。