抄録
車いす上での生活において,不良座位姿勢を長時間とり続けることは,関節可動域制限や褥瘡等の二次的な問題となりうる。そのため,二次的な問題が起こらないよう,不良座位姿勢に対するシーティングを行うことは,車いす利用者のQOL(Quality of life,以下QOL)を向上する意味で,重要である。今回,車いす自走は自立をされているが,車いす駆動時に不良座位姿勢となっており,疲労の訴えがみられた症例を担当させて頂いた。不良座位姿勢の原因になっている問題点を明らかにし,指標椅子座位姿勢に基づいたシーティングを行うことで,車いす駆動時の座位姿勢の改善を図った。また,シーティングの効果を実証するため,シーティング前後での座位姿勢と速度,疲労感を比較した。シーティングを行った結果,不良座位姿勢が改善し,車いす駆動速度,疲労感に改善がみられた。