理学療法 - 臨床・研究・教育
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18 巻, 1 号
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講座
研究と報告
  • ―ライフステージの変化と専門職の特性―
    荒木 智子*, 井上 和久, 須永 康代, 石渡 睦子, 柳田 千絵, 河合 麻美, 須藤 京子, 伯耆田 聡子, 吉 ...
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    埼玉県理学療法士会全会員を対象に職場環境に関する調査を実施した。960名より回答があり,平均年齢は30.5歳,97.5%が従事しており,病院・診療所が最も多かった。全体の38.8%が既婚者で子どもがいるのは66.3%であった。有給休暇取得率は50.9%であった。産前・産後休暇は女性の73.6%が取得した一方,子どもがいない群に制度の有無や利用の可否が「わからない」が高率にみられた。育児休暇は男性の5.0%,女性の60.5%が取得していた。国民平均値に比して埼玉県内の理学療法士は産前・産後休暇の取得率が全国より高く,育児休暇の取得率は低く示された。産前・産後休暇,育児休暇の制度の違いや復職後の不安により,取得状況が異なる背景が示唆された。今後妊娠・出産を迎える会員が増加することを考慮すると,就労継続を前提とした制度の周知,職場環境の整備,利用の促進が必要と考えられた。
  • ―座位保持装置を中心に―
    佐藤 征之, 清宮 清美
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 22-26
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    障害者自立支援法補装具費支給制度を利用して座位保持装置等の補装具を製作する際に理学療法士が評価に関わることが多い。しかし,補装具の定義に則った評価項目が確立しておらず,どのような情報を補装具判定機関に提供すべきか迷うことが多い。そこで,埼玉県身体障害者更生相談所では「ケース担当療法士理由書(座位保持装置,車いす,電動車いす)」様式を作成し,平成19年11月より導入した。導入前後でケース担当療法士からの評価情報を比較したところ,導入後には評価情報の量・質とも向上し,理由書導入による一定の効果が認められた。また,事例を紹介し,障害者自立支援法補装具費支給制度での理学療法士の役割について報告する。一方,課題も明らかになり,今後,理学療法士が果たすべき役割について考察する。
  • 秋山 聖
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 27-30
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    移乗介助が原因による介助者の腰痛を予防する解決策の1つとして,福祉機器の1種である移動用リフトの利用がある。しかし健常者は福祉機器に接触する機会は限定されており,これら知名度は低いものではないかと考えた。そこで今回,移動用リフトの普及および知名度を把握することを目的として,留置調査法によるアンケート調査を行った。その結果,移動用リフトの知名度は極めて低いものであった。しかし,本研究で用いたアンケートの中で移動用リフトを一度知ることにより,これらを非常に有益な道具であると考えるようになったなど,本調査自体が認知度向上の一手段となりえた。今後も理学療法士をはじめ,ケアマネージャー,介護福祉士など在宅復帰を支援する者たちが,しっかりと正しい知識を身につけ,適切なアドバイスを送り広めていく必要があると考えた。
  • 安藤 健士, 中濱 正利, 栗原 勝則, 旭 竜馬, 小野 慎也, 桐澤 有紀, 前原 邦彦, 山田 芙海
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    近年,がん終末期患者に対してのターミナルケアや緩和ケアなどの考え方から「そのひとらしく生きる」ということへの関心が高まっており,チーム医療の中での理学療法士の役割も大きくなっているのではないかと考える。今回,終末期がん患者に対し理学療法(以下PT)介入による効果を検討した。さらに,検討結果を考慮し今後の当院におけるターミナルケアへの関わり方を検討した。看護師へのアンケート調査ではターミナルケア,チーム医療,理学療法の必要性を感じている看護師が多い結果となった。理学療法士に求められることとして①疼痛緩和②安楽なポジショニング指導③廃用症候群防止④精神面のフォローが挙げられ,今後もチーム医療の中で理学療法士としてターミナルケアに関わっていきたいと考える。
  • 鴨下 雅子, 本宮 光信, 立谷 守, 田丸 景子, 高橋 未和, 武田 夢人, 猪狩 信也, 藤澤 祐基, 潮見 泰蔵
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    回復期は,転倒のリスクが高い時期であり,転倒の予防は重要課題の一つである。本研究では,転倒の原因の一つと考えられる,「患者の過信」に着目し,患者の転倒に対する自己効力感と客観的な動作遂行能力の,転倒との関係性について検討した。対象は,当院回復期病棟へ入院した脳血管疾患患者51名(男性31名,女性20名,平均年齢73.5±11.1歳)とし,転倒の有無は事故報告書より調査,転倒に対する自己効力感の評価は,「転倒予防自己効力感尺度(the fall-prevention self efficacy scale;FPSE)」を使用,動作遂行能力はFPSEの回答内容を介助量に変更し評価した。その結果,FPSEと動作遂行能力には有意に高い相関が認められた(r=0.78,p<0.01)。また,非転倒群は1回転倒群・複数回転倒群に比べ動作遂行能力が有意に高く,FPSEと動作遂行能力には有意差があるという結果が得られた(p<0.05)。以上より,FPSEと動作遂行能力を比較することが,対象患者の身体機能の把握状況や過信の有無,転倒に対する恐怖心などを考慮し,転倒予防対策を講じることに役立つと考える。
  • 内田 亮太, 廣瀬 圭子, 小沼 佳代, 諸持 修, 岡崎 喜紀, 八舟 美樹, 田口 孝行
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    本研究では,回復期リハビリテーション病棟における脳血管障害患者の入院後1ヶ月以内の転倒リスクについて入院時Functional independence measure(FIM)得点から検討することを目的とした。分析対象は,2008年度の1年間に当院に入院した脳血管障害患者120例として,転倒の有無・年齢・性別・病型・入院時運動項目FIM得点(M-FIM)・認知項目FIM得点(C-FIM)・総得点(T-FIM)について調査した。入院後1ヶ月以内に転倒経験を有する者48例(転倒群)と転倒経験を有さない者72例(非転倒群)に分類して分析を行った。その結果,転倒群と非転倒群間の年齢・性別・病型に有意差は認められなかったが,入院時M-FIM・C-FIM・T-FIMでは,非転倒群より転倒群の方が有意に低い得点を示した(p<0.05)。各FIM得点を独立変数,転倒の有無を従属変数とした年齢で調整したロジスティック回帰分析の結果,入院後1ヶ月以内の転倒に注意が必要な患者の入院時FIM得点は,M-FIM60点未満の者,C-FIM30点未満の者,T-FIM90点未満の者であることが示唆された。
  • 小林 沙希, 國澤 洋介, 武井 圭一, 松本 孝彦, 國澤 佳恵, 高倉 保幸, 山本 満
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 44-46
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    【目的】被殻出血Ⅲ-a型症例の急性期における理学療法プログラムの特徴を検討することである。【症例】55歳,男性,左被殻出血により右片麻痺・全失語症を認めた。【理学療法評価とプログラム】第20病日ではJapan coma scaleは1桁,Brunnstrom recovery stageは下肢Ⅱ,言語機能は全失語を認めたが,コミュニケーションは状況理解での応答が得られた。基本動作は,起立は平行棒では上肢の引き動作が優位であり,口頭指示での修正は困難であったが,平行板では体幹前傾を伴う起立へと自ら修正した。理学療法では,上肢の引き動作が困難な支持物を用いた環境での起立動作練習を実施した。第34病日には身体機能に変化はなかったが,移乗は見守りレベルで,移乗時の起立は車椅子のアームレストを把持し,前方重心移動を伴って可能となった。【考察】被殻出血Ⅲ-a型の急性期では,非損傷半球の特性を考慮したプログラムの立案が重要であり,聴覚理解能力が低下した症例では状況理解能力を活かす環境設定を行い,言語を用いなくても効率的な理学療法を実施できるような工夫が重要であると考えた。
  • 梶村 佳代, 杉本 論, 大隈 統, 小林 正宏, 中城 美香, 小島 慎一朗, 三品 礼子, 町田 明子, 佐久間 博子, 木橋 明奈, ...
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 47-50
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    当院では介護予防事業の1つである運動器の機能向上プログラムに関する介護予防教室を実施し,地域在住の高齢者の健康増進を図っている。今回実施前後の身体機能の変化およびアンケート結果・実施内容から今後の課題について検討した。当院の介護予防教室は週1回3ヶ月を1クールとし,自主トレーニング,マシンエクササイズおよび講義から構成されている。本教室に参加した地域在住の特定高齢者27名(平均年齢75.4±5.3歳)を対象に,5 m快適歩行時間・5 m最大歩行時間・開眼片脚立位時間・Timed up and go test(以下TUG)・右手握力・Functional reach test(以下FRT)・左右膝伸展筋力を実施前後で測定し,更に終了時に自由記述式のアンケートを行った。その結果,5 m快適歩行時間・5 m最大歩行時間・TUG・右手握力・FRTにおいて実施後に有意な改善を認めた。アンケートの分析では,身体機能や活動の改善に加え,心理面の改善や運動継続の意欲の向上に関する記載があった。以上の結果より,当院での介入は身体機能面の有意な改善または改善傾向があったこと,精神・心理面も向上した可能性が考えられた。今後は参加者が主体で行う取り組みの必要性を含めて検討すべきと考えられた。
  • ―スイッチ操作の理解度評価―
    友信 綾, 國田 広規, 伊藤 有希, 間嶋 満
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    脊髄性筋萎縮症(SMA)Ⅰ型では乳児期から重度の肢体不自由を呈するが,一般的に知的な遅れはあっても軽度とされており,福祉機器を使用することでコミュニケーション手段の獲得に至っている例も多い。本報告では当院入院中のSMAⅠ型児に対してコミュニケーション手段の獲得を最終目標に,導入期としてスイッチを工夫して玩具を操作できる環境を設定し,その理解度を4段階で評価した。その結果,児は現在機器操作の理解度の3段階目にあたり,スイッチと機器との一次的な繋がりは理解しているものの,完全な理解には至っていないということが解った。その背景として,子どもがコミュニケーション能力を発達させていく過程で必要な相互作用が,本児には与えられる機会が極めて乏しかったという経緯が示唆された。今回の結果を受けコミュニケーション手段獲得に向けた今後の課題として,フィードバックを強化した機器操作練習と,児からの働きかけを汲み取り,応答し,さらなる表出を促していくような取り組みの必要性を検証することができた。
  • ―一症例を通して―
    田村 亮, 武田 太, 江連 亜弥, 大角 彰宏
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 55-57
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    車いす上での生活において,不良座位姿勢を長時間とり続けることは,関節可動域制限や褥瘡等の二次的な問題となりうる。そのため,二次的な問題が起こらないよう,不良座位姿勢に対するシーティングを行うことは,車いす利用者のQOL(Quality of life,以下QOL)を向上する意味で,重要である。今回,車いす自走は自立をされているが,車いす駆動時に不良座位姿勢となっており,疲労の訴えがみられた症例を担当させて頂いた。不良座位姿勢の原因になっている問題点を明らかにし,指標椅子座位姿勢に基づいたシーティングを行うことで,車いす駆動時の座位姿勢の改善を図った。また,シーティングの効果を実証するため,シーティング前後での座位姿勢と速度,疲労感を比較した。シーティングを行った結果,不良座位姿勢が改善し,車いす駆動速度,疲労感に改善がみられた。
  • 似鳥 藍子, 馬場 志, 山田 隆介
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 58-60
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    ギランバレー症候群(以下GBS)の予後は回復良好とされていたが,近年では回復が遅延するという報告がある。しかし,その回復遅延群とされた症例でも長期的なリハビリテーションの介入により,回復を認めているという報告もある。しかしながら,そのような個人の経過を追った症例報告は現在において少ない。今回,我々が経験した回復遅延群のGBSは,他院から当院へ転院した直後は身体機能は低く,基本動作においてはほぼ全介助であり,退院先は施設方向であったが,当院入院3ヶ月以降に著明な回復が認められ,自宅退院へ至った症例であった。転院初期の予測とは違う経過をたどった症例の経過を知ることができ,そして回復期リハビリテーションという限られた期間がある中では,回復期に限らず,長期的な介入な可能となるよう,退院後のフォローや地域・家族との連携の重要さを改めて知ることができた。
  • 村田 健児, 金村 尚彦, 羽田 侑里子, 飯島 弘貴, 高栁 清美, 森山 英樹
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 61-66
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    加齢により関節軟骨は退行性変化を呈し,主要構成要素であるプロテオグリカン含量やⅡ型コラーゲンの減少が認められる。この関節軟骨の退行性変化は運動がもたらす関節への機械的刺激によって抑制および修復させることが報告されている。本研究では老齢ラットモデルの距腿関節軟骨を組織学的に分析し,走行運動およびバランス運動が距腿関節軟骨にあたえる影響を検討した。結果,老齢ラット群の関節軟骨は若齢ラット群と比較してⅡ型コラーゲン及び関節軟骨厚が減少し,関節軟骨表層部に亀裂が認められた。一方で,老齢ラット通常飼育群に比較してバランス運動群の軟骨厚が増加していた。このことから加齢によって距腿関節軟骨退行性変化を呈するが,関節運動を伴う機械的刺激によって関節軟骨変性を抑制,改善に作用する可能性があることが示唆された。
  • 大村 沙弥花, 廣瀬 圭子, 拔井 周子, 戸坂 心, 田口 孝行
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    30秒椅子立ち上がりテスト(以下CS-30)や5回椅子立ち上がりテスト(以下SS-5)は,地域における高齢者の健康増進事業などにおいて高齢者の下肢筋力の指標として用いられている。本研究では,CS-30・SS-5と等速性膝伸展運動を行わせた際の最大筋力と筋持久力との関係から,CS-30・SS-5は最大筋力と筋持久力のいずれを示す指標なのか明らかにすることを目的とした。健常女子大学生を対象にCS-30,SS-5,等速性膝伸展筋力(最大筋力・筋持久力)を測定し,Pearsonの相関係数を求めた。その結果,CS-30とSS-5の間に有意な相関関係が認められた(r=-0.845,p<0.05)。CS-30・SS-5それぞれとピークトルク(60 deg/sで5回反復,180 deg/sで5回反復)・総仕事量(60 deg/sで30秒間反復)との間に有意な相関は認められず,CS-30・SS-5と総仕事量(180 deg/sで30秒間反復)の間には有意な相関関係が認められた(CS-30:r=0.739,p<0.05 SS-5:r=-0.805,p<0.05)。CS-30・SS-5ともに,総仕事量としての筋持久力の指標となることが示された。
  • ―心拍数・運動強度・等速性膝伸展筋力との関連から―
    戸坂 心, 廣瀬 圭子, 大村 沙弥花, 抜井 周子, 島田 典証, 田口 孝行
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    6分間歩行試験(6MD:6分間歩行距離)は持久力の指標として用いられるが,メタボリックシンドロームの保健指導では3分間歩行試験(3MD:3分間歩行距離)が実施されている。しかし,3MDについて詳細に検討した報告は少ない。そこで,本研究では,心拍数・運動強度・等速性膝伸展筋力との関連から3MDと6MDについて比較検討することを目的とした。方法は,3MD・6MD測定時に心拍数と運動強度を計測した。また,等速性膝伸展運動時のピークトルクと疲労度(筋持久力の指標)を60 deg/sと180 deg/sとで計測し,それらと3MD・6MDの関連について分析した。その結果,3MDと6MDの間には有意な相関関係が認められた(r=0.763,p<0.05)。心拍数は,3MD・6MDともに開始1分後に急激な増加を認め,その後有意な変化はなかった。3MD・6MDともに運動強度に有意な変化は認められなかった。また,3MD・6MDとピークトルクとの間には有意な相関関係はなかったが,3MD・6MDと疲労度の間には有意な相関関係が認められた(r=-0.791~-0.902,p<0.05)。以上のことから,健常成人を対象とした場合,3MD・6MDは筋持久力の指標となることが示唆された。
  • 抜井 周子, 廣瀬 圭子, 戸坂 心, 大村 沙弥花, 大森 啓雄, 田口 孝行
    原稿種別: 研究と報告
    2011 年 18 巻 1 号 p. 75-78
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/03/30
    ジャーナル フリー
    短下肢装具を装着することによって,静止立位時の重心動揺や体幹への外乱刺激を与えた際の重心動揺が減少することが報告されており,姿勢反射障害に対する装具装着の有効性が検討されている。そこで本研究では,両側支柱付き短下肢装具(AFO)装着条件と裸足条件で床面からの外乱刺激を与えた場合の重心動揺量の相違について明らかにすることを目的とした。健常成人女性を対象にしてAFO装着条件と裸足条件下で立位を保持させ,床面からの外乱刺激(PF前後移動刺激,PF回転移動刺激)を与えた際の両条件における重心動揺量RMS(root mean square)を算出して比較した。その結果,PF後方移動でのみ有意に重心動揺量が減少した。したがって,本研究より,短下肢装具装着が重心動揺を減少させるか否かは外乱刺激の種類によって異なることが示された。
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