理学療法 - 臨床・研究・教育
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研究と報告
不全対麻痺者の座位における大腿部接触面積がリーチ距離および身体アライメントに与える影響
廣島 拓也杉山 真理笠井 健治大澤 薫西尾 尚倫
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2012 年 19 巻 1 号 p. 14-18

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抄録
足底に荷重が困難である者は足底以外の接触面が座位保持能力に影響を与えると考え,両大腿の接触面積の相違が座位保持能力に与える影響について考察した。車いす座位が可能な不全対麻痺者3名を対象に,支持基底面は同一で,大腿の後面が座面と接触する座位(以下条件①)と,大腿の40%が座面と接触する座位(以下条件②)で前方リーチ距離と身体傾斜角度を比較した。対象者2名では,条件①に比べ条件②では前方リーチ距離が減少した。条件①に対する条件②の前方リーチ姿勢時の身体傾斜角度は,上部体幹線は後傾し,骨盤線は前傾方向に変位する対象が2名,頭部線,頸部線が後傾方向に変位した対象が1名であった。大腿の接触面積が狭くなると,前方への不安定性が増し,立ち直り反応がみられ,リーチ距離が減少したと考えた。座位支持基底面は同一であっても,大腿と座面が接触する面積の相違により,座位での動的安定性が変化する症例を認めた。よって,座位動作時の安定性を得るには大腿と座面のより広い接触面積が必要であると考えられた。
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© 2012 社団法人 埼玉県理学療法士会
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