抄録
今回,脳卒中片麻痺者における車いす駆動と体幹機能との関係に着目し,車いす駆動に有用性のある体幹機能検査について検討した。対象は2009年度に当院に入院した脳卒中片麻痺患者のうち,指示理解が可能であり,車いすを移動手段としている157名であった。車いす駆動能力と,FACT(Functional Assessment for Control of Trunk),SIAS(Stroke Impairment Assessment Set),Hoffer座位能力分類の体幹機能検査間の測定値の相関関係と各体幹機能検査の天井効果を算出し検証した。検査結果より,車いす駆動と各々の体幹機能検査間において相関関係を示し,車いす駆動と体幹機能について関連性を持つことが示唆された。その中でもFACTは他の体幹機能検査に比べ天井効果も低く,脳卒中片麻痺者の車いす駆動をとらえるうえで有用性のある評価指標となる可能性が示唆された。