抄録
本研究の目的は,座位における体幹の最大側方移動時の姿勢を分析し,加齢に伴う頸部・体幹の姿勢応答の変化を明らかにすることである。対象は骨関節疾患のない若年者10名(若年群)と高齢者10名(高齢群)とした。課題は座位における体幹の左右最大側方移動とし,動作解析にて算出した頭部・身体・上部体幹・骨盤の傾きを2群間で比較した。結果は,左右いずれの移動課題において,身体と骨盤の傾きは高齢者で有意に小さく(p<0.01),上部体幹の傾きは若年者で有意に小さかった(p<0.05)。頭部の傾きは2群間で有意差はなかった。以上のことから,高齢者では身体・骨盤角度の減少と上部体幹角度の増加がみられ,上部体幹において若年者と異なる姿勢方略を用いていると考えられた。