抄録
【目的】筋疲労の評価として,筋血流量や乳酸値,筋電図を使った評価などが知られているが,現場での使用が難しくより簡便な評価法が求められている。そこで今回は,非侵襲で簡便性に優れた,唾液から分析できるストレスマーカーに注目し,筋疲労と唾液アミラーゼの変化について研究を行った。【方法】対象は一般健常大学生10名とした。運動課題は30秒間の自転車エルゴメーター駆動とし,課題終了後に安静臥位,ストレッチング,振動刺激により筋疲労の回復を図った。課題実施前,実施後,筋疲労回復処置後に唾液アミラーゼを採取し,筋疲労発生と回復過程においてどのような変化があるか比較・検討した。【結果】安静臥位,ストレッチング,振動刺激すべてにおいて唾液アミラーゼが有意に低下をした。【結論】筋疲労の程度が異なる段階において,唾液アミラーゼの値に変化がみられたことから,筋疲労と唾液アミラーゼの間に何らかの関連性があるのではないかと考えられる。今後は,筋血流量や乳酸値の測定などを合わせて行い,より詳細な関連性について検討していく必要がある。