理学療法 - 臨床・研究・教育
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症例検討
生活期において下肢・体幹の筋緊張に着目して屋外移動範囲の拡大に至った1事例
尾曲 真一梅本 幸季
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2014 年 21 巻 1 号 p. 81-84

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抄録
【目的】左被殻出血により右片麻痺と重度感覚障害を呈した40歳代女性に対して,屋外移動範囲拡大を目指してアプローチを実施した。【方法】感覚障害に伴う身体イメージの低下によって円滑な重心移動が阻害され,筋緊張亢進を招き,歩行耐久性低下の一因となっていた。視覚的フィードバックを利用したトレーニングが有効と考え,鏡を利用した立ち直り反応の促通及び重心移動練習を実施した。自宅にて運動の自己管理や良肢位保持の意識付けを行うと共に,訪問リハビリテーションと情報や課題の共有を図った。【結果】感覚機能に改善は認められなかったが,右腹斜筋群の筋出力の増大と立ち直り反応が促通され,立位での下肢最大荷重量(体重比)が両側共に増加した。歩行時の筋緊張亢進が軽減し,屋外連続歩行距離は100 mから400 mへと延長し,夫と一緒に買い物に行くことができるようになった。【結論】身体機能の改善が困難な生活期においても個々に応じた運動課題によって動作能力の向上を図ることが可能である。通所施設における個別練習効果を実生活に結び付ける為には,在宅生活を考慮した関わりと他サービスと協働して支援することが重要である。
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© 2014 社団法人 埼玉県理学療法士会
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