理学療法 - 臨床・研究・教育
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症例検討
発症から8年が経過した片麻痺患者のリーチ動作の獲得を目指して
―生活期における脳卒中片麻痺患者に対するクリニカルリーズニング―
園尾 萌香平田 恵介国分 貴徳
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2017 年 24 巻 1 号 p. 88-92

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抄録
【目的】リーチ動作の獲得を目標とした生活期脳卒中片麻痺患者に対する治療経験について機能面に対する自身のクリニカルリーズニングの過程を報告すること。【症例】8年前に脳梗塞を発症,右片麻痺となった70歳代男性。【経過】リーチ動作早期から異常運動が出現したが末梢からの介入で異常運動の軽減を認めたため,肘関節以遠の分離と肘伸展機能の向上を促した。しかしながらリーチ動作の改善に至らなかったため,介入による異常運動の軽減の差を機能変化の差と合わせて再検討し,統合・解釈し直した結果,肩関節の随意性低下という問題点が表出した。具体的には本症例は末梢介助下のリーチ動作において肩関節屈曲要素を肘関節伸展トルクで相互作用的に代償していたことが明らかとなり,再検討した結果を治療に反映させることでリーチ動作の質的改善を認めることができた。【まとめ】生活期では非神経学的要素が多く混在するため病態が複雑であり,経過の中から問題点を適宜把握・修正し,仮説を取捨選択して行く必要性があると感じた。
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© 2017 社団法人 埼玉県理学療法士会
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