抄録
【はじめに】糖尿病性下腿切断者に対して,理学療法士,義肢装具士の客観的な評価を,患者本人の主観的な評価はVisual Analogue Scale(以下,VAS)を用いて数値化して行い足部パーツの選択を行った。主観的な評価を用いる重要性があることを経験したことについて報告する。【症例紹介】左下腿切断術を施行した50歳代の男性。【経過】左足趾に潰瘍が出現,2週間後に近医を受診し,糖尿病足壊疽と診断される。診断された翌日に,前医の皮膚科を受診し,壊死性筋膜炎の診断にて入院。保存加療が困難となり,左下腿切断術を施行。術後40日目に,当院の回復期リハビリテーション病棟に転入した。【結果】術後71日目のVASでJ-Footが71,トライアスが64,C Walkが61とJ-Footが最も評価が高かった。主観的な評価と健側下肢の感覚障害や筋力低下を考慮して,本人,義肢装具士と相談の上,J-Footを選択した。【結論】足部を選択する際,本人の主観的な評価を数値で示して決定した報告は少なく,今後のパーツ選択におけるメディカルスタッフとの関わりとして,理学療法士の役割の手段となり得ることが示唆された。