理学療法 - 臨床・研究・教育
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研究論文
後期高齢者の運動器疾患受傷前の移動手段が日常生活動作に及ぼす影響
―運動器リハビリテーション患者の検討―
三浦 寛貴島崎 友博安岡 裕輔馬場 裕之本宮 光信古谷 友希
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2020 年 27 巻 1 号 p. 51-55

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抄録

【目的】本研究の目的は,運動器疾患にて回復期病棟に入院した後期高齢者の受傷前の移動手段が,入院時および退院時の日常生活動作に及ぼす影響を検討することである。【方法】対象は回復期病棟に入院し,運動器リハビリテーションを実施した後期高齢者81名である。キーパーソンへの問診により受傷前の移動手段を聴取し,独歩群,補助具使用群,歩行不能群の3群に分類した。またカルテから後ろ向きに基本情報や,回復期入院日数,入院時ならびに退院時の機能的自立度評価法(FIM)を収集した。【結果】入院時および退院時のFIMの運動項目は,独歩群が補助具使用群,歩行不能群に比べて有意に高値であった。回復期入院日数は,独歩群と補助具使用群は歩行不能群に比べて有意に短かった。独歩群は補助具使用群より入院日数が短くなる傾向がみられたが有意差は認められなかった。【結論】本研究から受傷前の移動手段は,入院時および退院時のFIM,入院日数に影響を及ぼすことが示唆された。受傷前の移動手段の情報が,ゴール設定や予後予測において活用できると考えられる。

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© 2020 社団法人 埼玉県理学療法士会
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