2020 年 27 巻 1 号 p. 45-50
「目的」ACL自己治癒過程におけるNuclear Factor-kappa B(以下NF-κB)の局在性と作用を検討した。「方法」ラットを対象に,ACL切断(ACL Transection: ACLT)群,関節包外関節制動(Controlled Abnormal Movement: CAM)群,対照(Intact)群の3群とし,それぞれ介入後1日,3日,5日のグループに割り当てた。各群,各時点でヘマトキシリン・エオジン染色とNF-κBに対する免疫組織化学染色による組織学的解析を行った。「結果」ACL損傷を伴うCAM群とACLT群においてNF-κBの活性が観察され,主にACL断端や膝蓋下脂肪体に局在していた。時間経過とともにCAM群ではNF-κBの活性が減少した。「結論」本研究結果から,NF-κBはACL自己治癒過程においてACL治癒を導く作用を有する可能性が推察された。