2021 年 28 巻 1 号 p. 17-22
タイピング動作におけるリストレストの使用は右尺側手根伸筋の筋活動と水平面の運動を変え得るか,右尺側手根伸筋(Extensor carpi ulnaris ; ECU)筋活動・身体特性・運動学的変数から検証した。対象は健常成人10名,課題はリストレスト非使用条件と使用条件のタイピング動作とした。結果として条件間の比較では右ECU筋活動に有意差はなかった。また,リストレスト使用時に右ECU筋活動が減少した群と増加した群のリストレスト非使用時の群間比較では,増加した群において右ECU筋活動は有意に低値であった。さらに,増加した群はリストレスト使用時にタイピング時間が有意に短縮した。本研究の結果から,効率的なタイピング動作ができる者はリストレストの使用によって右手の水平面の運動を変えないが,右尺側手根伸筋の筋活動を増加させるため,リストレストの使用は推奨されない可能性が示された。