2024 年 31 巻 1 号 p. 44-49
【目的】本研究の目的は,小脳または脳幹部の脳卒中により運動失調を呈した症例において症状の相違を明らかにすることである。【方法】対象者を小脳障害群と脳幹障害群の2群に分け,入棟時および退棟時に基本情報(年齢等),経過(入院日数等),機能評価(Scale for the assessment and rating of ataxia(以下,SARA)等)を比較した。【結果】解析対象は脳卒中患者62例。小脳障害群で脳出血の割合,めまいの出現が有意に多く,脳幹障害群で運動麻痺および感覚障害を有する割合が多かった。これらはいずれも中等度の効果量を認めた。また,SARAの立位・歩行・手回内外試験で中等度の効果量を認めた。【結論】小脳障害群ではめまいに応じた運動課題の設定やリスク管理が必要となり,脳幹障害群では今後,片麻痺の要素に対するアプローチの有効性の検証が必要と考えられた。