日本糖尿病理学療法学雑誌
Online ISSN : 2436-6544
健常若年成人における膝関節角度が足関節背屈の自動的関節可動域に及ぼす影響
木村 和樹 西倉 尊五十嵐 貴大
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2022 年 1 巻 1 号 p. 54-62

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抄録

【背景】足関節は立ち座りや歩行といった基本動作,立位での姿勢戦略において重要な役割を担っている.しかし,足関節の関節可動域は脳卒中や腰部疾患による運動麻痺,下肢の運動器疾患の影響を受けることがある.また,糖尿病性神経障害は足関節の関節可動域を制限し,足病変の発生リスクを上昇させることが報告されている.そこで,本研究は膝関節屈曲角度が足関節背屈の自動的関節可動域に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした. 【方法】対象は健常若年成人の男性17名(利き足17肢)とした.膝関節屈曲0°(伸展0°),および膝関節屈曲 30°,60°,90°,120°の5条件において,足関節背屈の自動的関節可動域を検討した.デジタル一眼レフカメラにて撮影をした画像の分析にはImage-Jを使用して関節角度を算出した.各膝関節角度における足関節背屈の自動的関節可動域の比較はFriedman検定後,Bonferroni法による多重比較検定を行った. 【結果】膝関節伸展0°は膝関節屈曲60°以上の条件と比較して有意に足関節背屈の自動的関節可動域が制限されていた(p 値<0.05).また,膝関節屈曲90°と120°は膝関節屈曲30°よりも足関節背屈の自動的関節可動域が拡大した(p 値<0.05). 【考察】膝関節屈曲角度の増加に伴う足関節背屈の自動的関節可動域の変化は,膝関節屈曲60°未満では腓腹筋の伸張性が影響した.膝関節屈曲90°以上における足関節背屈の自動的関節可動域の拡大には腓腹筋の伸張性以外の要因が影響すると考えられた.

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