日本糖尿病理学療法学雑誌
Online ISSN : 2436-6544
小型端末を用いた運動支援による 過体重の2型糖尿病患者における活動量の変化
石黒 博也 林 久恵江西 一成神谷 実希榊原 康喜髙橋 ゆい野尻 奈穂水野 裕子丹羽 靖浩足立 浩一
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2022 年 1 巻 1 号 p. 77-88

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抄録

【はじめに】肥満は2型糖尿病の病態進行を助長する因子であり,糖尿病教育入院中は減量に向けた食事・運動習慣の獲得が必要となる.外来通院中の肥満2型糖尿病患者に対して小型端末を使用した介入が運動習慣の獲得を促進すると示されているが,入院中の同患者に対しての介入効果は検証されていない.そこで,本研究の目的は小型端末を使用した運動支援が入院中の肥満2型糖尿病患者の運動習慣の獲得と減量効果に及ぼす影響を検証することとした. 【方法】対象は運動習慣のない肥満2型糖尿病患者14名(男性9名,女性5名,平均年齢49.4 ± 18.5歳)とし,運動支援に小型端末を使用する使用群(8名),使用しない非使用群(6名)に割り付けた. 【結果】運動順守率は使用群で平均85.1 ± 12.4%,非使用群は平均22.1 ± 21%であり,使用群は非使用群と比較して有意に高かった(p < 0.001).退院時の行動変容ステージは使用群が非使用群と比較して実行期の割合が有意に多かった(p = 0.015). 【考察】使用群では小型端末の通知機能と運動実施のフィードバックが運動アドヒアランス向上に寄与したと推察される.入院中に小型端末を使用した運動支援を行うことで消費エネルギー量・行動変容ステージ・運動遵守率の向上することが確認されたが,小型端末の使用による運動習慣化,減量効果については追跡調査が必要である.

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© 2022 日本糖尿病理学療法学会
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