抄録
要旨
【目的】橋出血後のPacing 障害例の理学療法の経過を振り返り、病態の整理と有効なリハビリテーションについて検討すること。
【症例紹介】70 歳代の橋出血後の男性症例。第13 病日に当院回復期リハビリテーション病棟へ転院した。転院後に心身機能の改善を認めたものの、車椅子の移動や移乗動作、歩行時に動作の速度が性急になる現象を認めた。評価をしたところ、Pacing 障害は陽性であったため、第102 病日から3 週間にわたり、Pacing を考慮した聴覚刺激を併用したペダリング運動と歩行練習を実施した。【経過】Z + 124 日にはPacing 障害は陰性となり、車椅子の移動や移乗動作が自立した。歩行は見守りとなった。
【結論】橋出血例は前頭葉に関連したPacing 障害を呈する可能性があり、理学療法評価と介入を考慮する必要があることが示唆された。