抄録
要旨
当院にけるStanford A 型大動脈解離の手術後の理学療法は、残存解離の有無により異なる運用で行われた。残存解離のない症例では、「心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン(2021 年改訂版)」に基づき、可及的早期から離床を開始し、患者の全身状態や血圧コントロール状況に応じて適切な運動プログラムが実施された。一方、残存解離のある症例には、「大血管術後のプログラム進行基準例」を適用し、下行大動脈の残存解離の有無や偽腔の状態をCT 検査で確認しながら段階的にADL の拡大を図った。また、手術後の合併症として、左上肢機能障害が2 例、出血性脳梗塞が1 例認められた。これらの手術後の合併症が理学療法の進行に影響を与えたことが推測された。