関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第27回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 79
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骨・関節
THA術後患者の片脚立位、入院期間とWBIについての一考察
*綿貫 五月南雲 由希江高橋 静恵齋藤 瑞紀
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抄録

【目的】人工股関節置換術(以下THAと略)患者のリハ目的は、主に筋力強化と歩行の安定であり、術側下肢の支持性との関わりが非常に大きい。また、下肢支持性や歩行能力との関係が深いとされる膝伸展筋力を用いた体重支持指数WBIが知られている。今回、自宅退院したTHA患者の入院期間、下肢支持性の指標として退院時の片脚立位、WBIを比較検討し、若干の知見を得たので報告する。
【方法】対象は、平成18年から19年にTHAを施行し、リハ目的で当院に入院した患者のうち、調査可能であった女性10名、年齢55.7±4.7歳、身長154.3±5.8 cm、体重52.5±5.7 kgである。退院時の術側と非術側の片脚立位時間、膝伸展筋力はサイベックスを使用して測定。測定は一人の検査者が全て行い、体重と膝伸展筋力からWBIを算出した。入院期間、術側WBI、非術側WBI、術側片脚立位、非術側片脚立位、に相関関係があるか検定を行った。
【結果】入院日数は平均53.4日間で、30~39日が3名、40~49日が2名、50~59日が1名、60~69日が2名、70~79日が1名、90日が1名。術側WBIの平均は0.79、非術側WBIの平均は1.23で、非術側に対する術側の割合の平均は64.13%であった。術側の片脚立位とWBI(r=0.56)、非術側の片脚立位とWBI(r=0.49)には正の相関が認められ、入院期間と術側WBI(r=-0.49)と負の相関が認められた。入院期間と非術側WBI、術側片脚立位には有意な相関は認めなかった。
【考察】WBIは体重あたりの膝伸展筋力であり、可能な運動レベルの目安が示されている。退院時でも術側のWBIは、非術側の6割強に低下していることがわかるが、WBI0.6~0.8は、「階段昇降が支障なく可能だが、疲れやすく、スポーツでは思い切った動作ができず、筋肉痛を伴う」レベル、1.2以上は「競技スポーツの選手」レベルとされる。これは、術側を補うため、非術側の筋力が増強されていることも伺えるのではないだろうか。また、THA患者の術側、非術側においても、膝伸展筋力と片脚立位の関係が深いこと、術側膝伸展筋力が大きいほど、入院期間が短い傾向にあることも示された。これらのことから、下肢支持性の改善、入院期間の短縮には、膝伸展筋力の強化へのアプローチが重要であると考えられた。しかし、今回の研究においては症例数が少なく、症例数を増やすこととWBIと疼痛や歩行速度、距離などとの比較検討と併せて今後の課題としたい。

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© 2008 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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