関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第29回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 17
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口述発表2(理学療法基礎系)
歩行時における身体重心の位置
*鶴岡 浩司江戸 優裕
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キーワード: 歩行, 身体重心, バイコン
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抄録

【目的】 立位姿勢において身体重心(COG)は身長の56%の高さに位置すると言われている。臨床では、歩行時の身体重心位置を想定するによって歩行の特徴を捉えたり、治療の効果判定にに活用していることが多い。よって、今回の研究によって歩行時の身体重心位置を3次元的に明確にしたいと考えた。 【方法】 対象は本研究の趣旨に同意が得られた健常成人男性3名(平均年齢26.7±5.0歳)とした。赤外線反射標点を被験者の両側の肩峰・股関節・膝関節・外果・第5MP関節の計10ヶ所に貼付し、臨床歩行分析研究会の勧める方法に準拠し、至適速度での歩行を三次元動作解析装置VICON-MX(VICON PEAK社製)、床反力計(AMTI社製)で計測した。得られた標点の位置データから、身体を両足・下腿・大腿・及び体幹より成る7節リンク剛体モデルで近似し、重心位置を算出した。両股関節マーカーの中点を骨盤中心とし、骨盤中心と身体重心との位置のズレを3次元的に算出した。尚、分析対象側は被験者毎に左右でランダムに決定し、各データは床反力から判断した一歩行周期で正規化し、分析に使用した。 【結果】 研究の結果は以下のようになった。(単位:mm) 1. 骨盤中心に対するCOGの左右の移動幅 立脚初期 2 中期 4 後期 4 遊脚期 4 最大移動幅2 2. 骨盤中心に対するCOGの前後の移動幅 立脚初期 12 中期 16 後期 15 遊脚期 19 最大移動幅 7 3. 骨盤中心に対するCOGの上下の移動幅 立脚初期 70 中期 68 後期 68 遊脚期 66 最大移動幅 4 【考察】 今回の結果から、歩行における立脚初期・中期・後期・遊脚期の骨盤中心に対するCOGの左右の最大移動幅は2mm、前後の最大移動幅は7mm、上下の最大移動幅4mmであった。左右、前後、上下の最大移動幅の範囲内に位置する場所はほぼ第2仙骨高位であった。歩行時の身体重心位置も立位時の身体重心位置とほぼ変わらない位置にあるということが言える。このことは、立位姿勢の身体重心を想定することによって歩行時の身体重心を想定することが出来るということになる。また、立位時と歩行時の身体重心位置の差が大きいときは正常と逸脱してるということが考えられる。

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© 2010 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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