関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 102
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原因疾患別廃用症候群のリハ効果についての検討
峯崎 洋
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抄録

【目的】
廃用症候群はその原因疾患は多岐に渡る。一言で廃用症候群といっても原因疾患によりリハ効果が変わるのではないかと考え、原因疾患別でリハ効果に差が見られるのか検討することにした。
【対象】
平成22年1月~平成24年1月までの2年間の間に当院に入院し、廃用症候群の診断名でリハを行った患者204名(死亡退院、データの不備のあった患者を除く)を対象とした。内訳は腎疾患43名、消化器内科疾患40名、消化器外科疾患31名、心疾患23名、呼吸器疾患22名、糖尿病12名、泌尿器疾患12名、血管外科疾患9名、その他12名となっている。
【調査項目】
1、年齢 2、リハ開始時と終了時バーサルインデックス(以下BI) 3、BI改善ポイント(リハ開始時と終了時BIの差)4、在院日数 5、リハ開始までの日数 6、リハ実施日数 7、入院前に屋外歩行自立していた者の比率  8、退院時歩行自立率 9、リハ開始時と終了時の基本動作能力(寝返り困難、寝返り可、起き上がり可、歩行可、歩行自立に分類) なお本研究は当院の個人情報保護方針に則り、患者情報を個人の識別あるいは特定できない状態に加工して行った。
【結果】
全体としては疾患によるリハ効果の差は認められなかった。呼吸器疾患で初期BIが糖尿病、血管外科に比べ有意に低かったことや、リハ日数が有意ではないものの長い傾向があったことが目立った。初期BIが低い疾患でリハ開始時寝返り困難の患者が多い傾向が見られたので、リハ開始時基本動作でリハ効果を検討したところ、リハ開始時寝返り困難だった患者の70%は起き上がりに至らなかった。またリハ開始時寝返り困難群と寝返り可能群では歩行の獲得に有意差が見られた。
【考察】
呼吸器疾患で初期BIが低くリハ日数が長いのは肺炎が多く、全身的なダメージが他疾患に比べ大きいためかもしれない。リハ開始時の基本動作能力とリハ効果については寝返り困難群と寝返り可能群で歩行の獲得に有意差があることがわかり、また寝返りが困難になるほど廃用が進むとその後のリハビリの効果が上がりにくくなるため、そこまでの廃用に陥らないよう努めることが大事だと思われた。
【まとめ】
廃用症候群を原因疾患別で分類してリハ効果を検討したところ有意な差は見られなかったが呼吸疾患で廃用が進んでいる傾向が見られた。

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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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