関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 11
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症例を通して独居生活に必要である、しているADL動作獲得に向けた取り組み
小坂 佳代子横田 直子
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抄録

【目的】
障害を得ることは個人・社会参加を制約し生活活動であるADLを障害する。入院中から独居を営むためできるADL・しているADLに着目した。障害を得てそれまでと同じ生活ができなくなったとしても、様々な工夫によりまた元の生活に戻ることが可能であった症例を報告する。2症例とも本人への説明と同意を得た。
【症例紹介】
症例1:72歳男性。糖尿病壊疽による左下腿切断後呼吸不全ありNPPV。呼吸は胸式呼吸で、呼吸数23回/分。O2=1L下で労作時SPO2=93~95%息切れ;修正Borgスケール4。下腿切断は左中断端で幻視痛あり。ADLは起き上がり~端坐位保持可能、トランスファー監視。吸着式下腿義足で歩行訓練。HDS-R 20/30点。<BR>症例2:74歳男性。脳梗塞右麻痺、慢性腎不全で透析導入。右大腿骨頚部骨折後人工骨頭置換術。右Br-stage Ⅴ-Ⅴ-Ⅴ.構音障害あり。血圧は160~180/70~80。ADLは術後8週で20M歩行器歩行監視。HDS-R19/30点。
【経過】
症例1:入院から4か月内科的なコントロールつかないこともあり訓練進まず。リハビリで離床するも病棟での臥床時間が長い。小康状態となると在宅への希望が強くなった。そこで1週間の試験退院を機にADLと環境の設定を行った。試験退院から帰院すると自宅・病棟・リハビリで、できるADLとしているADLの乖離がみられスタッフ間でADLへの対応が違っていることが判明。そこで自宅退院を目標に病棟・リハビリで、できるADLとしているADLを表にまとめ情報を共有した。歩行では下腿義足のソフトインナーとソケット装着はしているADLとして自立、U字歩行器歩行は監視。そして在宅チームと症例のADL表を用いて環境設定を細部で調整し、結果在宅でのADLが維持されている。<BR>症例2:疲労感が透析後は特に強くリハビリの効果出現に長期間を要した。OPE後8週でMMT右殿筋群・腸腰筋・大腿四頭筋3+、左は4。在宅を強く希望され透析通院も念頭におき家屋評価。カゴを取り付けた歩行器歩行で、独居に必要なADL動作である冷蔵庫から食品を出してテーブルまで運ぶ等を病棟では監視や促しを、リハビリでは動作を行いしているADLの自立を目指した。またケアマネを中心とした在宅チームと頻繁に連携をとる事で、透析通院のための動線や福祉用具、緊急時の携帯使用の確認を行った。その結果ヘルパー介助を受けながら、独居でADLを歩行器使用で獲得し維持している。
【考察】
できるADLからしているADLに注目した。在宅チームと連携をとり、個々の生活を把握することで障害を得てもADLの方法の検討や福祉サービスの導入により、元の生活に戻ることができることを学んだ。

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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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