関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 109
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脳卒中片麻痺者の荷重動作と荷重率、身体・歩行能力との関連~両側肩峰中点側方到達点に注目して~
櫻本 一平佐藤 みゆき臼田 滋
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抄録

【目的】
脳卒中片麻痺者の麻痺側荷重動作時の両側肩峰中点側方到達点と下肢荷重率(Weight Bearing Rate:WBR)、身体機能、歩行能力との関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は手放しで立位が行え、杖や装具の有無を問わず自力歩行可能な脳卒中者11名(平均年齢:67.2歳)とした。荷重量は市販体重計にて測定を行い、ビデオカメラで目盛を撮影し、画像より読み取った値を体重で除し、WBR(%)を算出した。三次元動作解析は2台のデジタルビデオカメラで撮影した映像よりFrame-DIAS4 systemを使用して解析した。これら3台のカメラは同期して解析を行った。荷重動作は立位で非麻痺側・麻痺側下肢へ随意的に行い、最大に安定して荷重可能なWBRを測定した。解析は麻痺側荷重時の両側肩峰中点側方到達点の平均値10.2cmを基準に平均値以上群(A群 n=5)、平均値以下群(B群 n=6)に群分けし、三次元動作解析項目、WBR、身体機能、歩行能力の項目において独立サンプルによるt検定、Mann-WhitneyのU検定を用いて群間比較を行った。側方到達点は両側足関節の中点からの距離で荷重側方向を+と定義した。なお、本研究は老年病研究所倫理審査委員会にて承認された上で行った。
【結果】
麻痺側荷重時の肩峰中点到達点(cm)はA群5.2±1.9、B群 -1.5±3.0、ASIS中点到達点(cm)はA群17.7±5.1、B群4.1±1.8でそれぞれ有意な差(p<0.01)を認めた。それに対して、非麻痺側荷重時の肩峰・ASIS中点到達点では2群に有意な差は認めなかった。WBR(%)では麻痺側WBRにおいてA群87.8±4.8、B群49.2±9.8で有意な差(p<0.01)を認めたが、非麻痺側WBRにおいては有意な差は認められなかった。身体機能ではSIASの運動・感覚項目の合計点において有意に(p<0.01)A群で高い点数となった。歩行能力では、最大歩行速度(m/s)においてA群0.74±0.31、B群0.30±0.14、重複歩距離(m)においてA群0.82±0.24、B群0.57±0.05となり、それぞれ有意な差(p<0.05)を認めた。
【考察】
麻痺側荷重時肩峰中点側方到達点は、麻痺側WBR、身体機能、歩行能力を反映している可能性が高く、麻痺側荷重動作時の重要な評価ポイントと成り得る。しかし、今回の研究では各項目間の因果関係を探ることは難しかった。今後、肩峰・ASIS中点に着目し荷重動作パターンを分類可能であり、さらなる症例数の増加が課題である。

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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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