関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 119
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脳卒中発症後10日目の動作能力とリハビリテーション実施状況に関する検討
保木本 崇弘樋口 謙次木山 厚堀 順三小田 健洋中山 恭秀安保 雅博
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キーワード: 脳卒中, 早期リハ, 動作能力
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抄録

【目的】
脳卒中発症後は早期からリハビリテーション(以下リハ)が開始される。早期リハは、廃用性障害の予防、麻痺の改善、基本動作・歩行の獲得などを目的とし重要といえる。しかし、早期リハの実施状況に関する報告は少ない。本研究の目的は、発症後10日目までのリハ実施状況を調査すること。10日目の動作能力とリハ実施状況の関係性を検討することである。
【方法】
対象は、2010年4月~2011年3月までに当大学附属4病院に入院した初発の成人脳卒中患者である。発症より7日以内に入院し、10日以内に座位が開始となった患者とした。くも膜下出血は除外した。対象は76名、年齢は71.5±12.9歳、男性38名、女性38名、脳梗塞57例、脳出血19例であった。方法は、当大学附属4病院で使用している共通評価表から発症10日目のデータを診療録より後方視的に調査した。調査項目は、発症からPT開始までの日数、実施日数(PT・OT・ST合計)、一日平均実施時間(PT、OT、ST合計)、OTの有無、STの有無とした。動作能力の評価は、座位保持能力(ABMS座位項目)、歩行能力(Functional Ambulation Categoriesを一部改編し使用、以下FAC )とした。検討にあたり動作能力を3群に分類した。FAC監視以上を歩行可能群(n=43)、FAC監視未満であって座位が修正自立以上を座位自立群(n=18)、FAC監視未満であって座位が監視以下を座位非自立群(n=25)とした。統計解析は一元配置分散分析及びχ2検定を用いた。一元配置分散分析にて有意差を認めた項目には多重比較検定(turky法)を用いた。有意水準は5%未満とした。
本研究は当大学倫理委員会にて承認を受け、ヘルシンキ宣言に基づき実施した。データは後方視的に調査し、個人は特定されないよう匿名化した。
【結果】
調査結果は、発症からPT開始までは4.4±2.2日、実施日数は5.1±1.8日、一日平均実施時間は41.7±15.8分であった。OTの有無は有が52例、無が23例、STの有無は有が15例、無が61例であった。各群の比較では、実施時間は歩行可能群48.0±16.4分、座位自立群43.8±15.6分、座位非自立群31.6±8.80分であり有意差を認めた。その他の項目では差を認めなかった。
【考察】
発症10日目において動作能力と実施時間に関係がある事を示している。しかし、今回の検討では脳卒中の重症度によって実施時間が異なるのか、実施時間による動作能力への影響なのかは定かではない。今後は、発症直後の重症度により実施時間が異なるのか、また重症度毎に実施時間と動作能力の関係を調査することが課題である。
【まとめ】
リハ実施状況を調査した。また、動作能力とリハ実施状況の関係について検討した。

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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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