関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 171
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著明な小脳失調を呈した大きな転移性脳腫瘍に対しサイバーナイフ治療を施し,理学療法を介入した一症例
高橋 祐也本吉 優子石渡 正浩鈴木 潤一遠藤 麻耶新堀 健士長谷川 肇矢口 愛宮崎 紳一郎
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抄録

【目的】
平成22年度より,がん患者リハビリテーション料の算定が可能となり,癌に対する   リハビリテーションの評価が見直されている.今回,著明な小脳失調を呈した転移性脳腫瘍に対し,サイ   バーナイフ治療(以下:CK)を分割照射し理学療法を介入,歩行自立となり自宅退院可能となった症例に   対し介入の重要性を再認識したので報告する.
【方法】
70歳代女性,平成12年に右乳癌発症しOPEせず抗がん剤治療施行.その後,経過観察し,H23年10月,悪    心・嘔吐出現し他院へ入院,頭部MRIにて大きな小脳転移を認め,適当な治療法は見つからず保存的治療   で経過していた.患者家人がCK治療を求めて当院来院.入院と同時にCK治療と理学療法開始.入院時,身   体機能は右上下肢に協調性障害,両下肢・体幹MMT3,歩行時ワイドベースにて前方へふらつき,転倒を数   回繰り返す為,移動は車椅子レベル.効果判定はBerg Balance Scale(以下BBS),10m歩行,Time Up    and Go Test(以下TUG)を実施.   尚,症例には本研究の趣旨を説明し書面にて同意署名を得た.
【結果】
CK治療は10日間10分割の低分割定位放射線治療の手法で実行され終了した.同時に筋力強化訓練,立位バ   ランス訓練,歩行訓練を中心に実施.入院時BBS:16点,退院時41点,10m歩行・TUGともに入院時は施行困   難,退院時10m歩行:24歩11.78秒,TUG:18.09秒,屋内ADLにて移動時,杖使用し自立となり,自宅退院   となる.
【考察】
従来の症状を示す大きな転移性脳腫瘍における治療は放射線での全脳照射又は,外科的治療が中心となっ   ていたが,当院ではCK治療にて放射線の短期間の分割照射が可能であり,全脳照射や外科的治療に見られ   がちな後遺症や合併症が少なく又,治療医との連携を取りながら治療と並行してリハビリの介入ができる   こととなった.当症例においても,早期よりCK治療と並行し介入できたことで二次的な廃用を防ぐととも   にADLの向上,早期自宅退院につながったものではないかと考えられる.

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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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