関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 243
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検査実習における学生の目標と課題  ―ポートフォリオを用いて―
藤井 菜穂子谷 浩明
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抄録
【目的】
 理学療法教育において、臨床実習はきわめて重要な位置を占めるものであり、本学においても、1年次から段階的に臨床実習を組込んでいる。先ず1年次で臨床早期暴露として重要な早期臨床体験(Early Clinical Exposure; ECE)実習、その後2年次後期において検査実習を実施している。検査実習は、学内で行った理学療法検査・測定技術を実際の臨床現場で患者様に対して実施を試みるものであり、3年次、4年次臨床実習につなげるための重要な実習である。今回、検査実習に関してその内容を把握するとともに、学生の内面的状況を理解するためにポートフォリオを用いて学生のビジョンや目標、ポートフォリオの有用性等についてアンケート調査を行ったので報告する。
【方法】
 対象は、本学部理学療法学科に在籍する2年生48名(男性29名、女性19名)、平均年齢20.5歳で、ポートフォリオおよび実習後アンケート調査の回収率は98.0%であった。ポートフォリオにて、実習前にはビジョンと目標、目標書き出し、実習後にはふりかえりシートによる自己評価を記載してもらった。また実習後アンケートでは、課題や担当疾患名などの実習内容、自己評価、ポートフォリオの利用等に関するものとした。設問は全52問で、選択と記述項目を併用し、順位付けには5段階評価を用いた。本件について学生に十分な説明と同意を得た上で調査を実施した。
【結果】
ポートフォリオにおいて、記載された文章内の用語の使用に注目すると、実習前のビジョンでは、58%の学生が「信頼」、「共感」を、ビジョンを叶えるための具体的な目標では、30%の学生が「リスク管理」、「安全」、「配慮」の用語を使用していた。目標書き出しのうち達成できた主なものとして、「コミュニケーション」、「時間管理」を、達成できなかったものとして、「コミュニケーション」、「配慮」、「積極性」などをあげていた。ポートフォリオの利用について、60%の学生が概ね有用と回答した。
【考察】
2年次において学生が描く将来の理学療法士像と彼らがもつ課題の概観が把握でき、リスク管理を含めた患者さまへ配慮を前提として、信頼関係を築くことを重視する傾向が認められた。これらの傾向はその後になされる3、4年次の養成教育をより有意義にするための一助となると推察される。ポートフォリオの有効な活用も視野に入れ、今後さらに検討したい。
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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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