抄録
【目的】
PRIMEとは初学者の臨床能力を評価する新しい手法である。初学者の成長レベルに沿う体系だった臨床評価法であり、Professionalism(以下P)、Reporter(以下R)、Interpreter(以下I)、Manager(以下M)、Educator(以下E)の頭文字からなるPRIMEは5つの階級を意味し、初学者の能力段階(階級)に応じた指導法であると言われている。最下位階級としてPから開始するPRIMEでは、Pでは「専門職として資質」、Rでは「報告者としての能力」(情報収集/正異判定能力)、Iでは「解釈者としての能力」(問題立案能力)、Mでは「管理者としての能力」(治療計画管理能力)、最上位階級であるEでは「教育者としての能力」(主体的学習能力)が求められており、教育者の判定により階級が上がり教育をすすめる仕組みとなっている。当科では、23年度臨床実習において試験導入し、PRIMEについてどのような意見を持ったか、教育者及び学習者双方にアンケートを実施したのでここに報告する。尚、本報告は院内倫理委員会にて承認を得ている。
【方法】
23年度臨床実習における教育者5名及び学習者6名に対し、実習終了後にアンケートを実施。PRIMEについて5段階評価をし、自由記載を求めた。
【結果】
教育者側は「かなり良かった」が2名、「まぁまぁ良かった」が2名、あまり役立たなかった」が1名であり、紙面の都合上代表的な意見を整理提示すると「達成度や課題を明確に示せた」(同様意見複数)、「理解不足による活用不足」(同様意見1名)であった。学習者側からは「かなり良かった」が3名、「まぁまぁ良かった」が2名、「どちらとも言えない」が2名であり、意見を整理提示すると「その時点のおける自身の課題が明確であり、わかりやすかった」(同様意見複数)、「学生を枠に押し込めている印象を受けた」(類似意見1件)であった。
【考察】
新しく導入したPRIMEは、特に未熟教育者においては指導焦点が明確になる為、養成校の提示する実習要項に沿い指導計画を立案し実施するにあたり、補完的に活用し得る可能性があると思われた。但し、教育者側の十分な理解の下で進めていく事が必須であり、また学習者側からは階級に基づく教育への反対意見もあり、今後PRMEについては更に工夫を重ねていく必要も示唆された。
【まとめ】
PRIMEを臨床実習に試験導入し、初学者の能力評価法として概ね良い結果を得た。クリニカルクラークシップとの併用や、mini-CEX等の他の評価票との比較、未熟教育者及び初学者への支援体制の洗練化により、PRIMEは医療現場における初学者指導に貢献する事と確信している。PRIMEを継続使用し、精度を高めながら学会等で報告していき、未来の臨床教育に寄与してきたい。