関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 289
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回復期脳卒中患者に対するMini-BESTestの信頼性・妥当性の検討
鬼塚 勝哉横山 明正松永 玄田中 精一丹 栄美子藤本 修平大高 洋平
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抄録
【目的】
Mini-Balance Evaluation Systems Test(Mini-BESTest)は,BESTest(Horak et al,2009)の簡易修正版として考案された,4セクション,14項目により構成されるバランス評価スケールである(Franchignoni et al,2010).バランス能力を要素別に評価できるという特徴があるため,問題点を明確にでき,治療計画を立案する上で有用であると報告されている.しかし,Mini-BESTestに関する信頼性および妥当性はいまだ報告されておらず,本研究では回復期脳卒中患者における信頼性・妥当性を検討することとした.
【方法】
対象は回復期病棟に入院中の脳卒中患者28名(平均年齢:65.86±12.04歳)とし,適応基準は指示理解が可能で歩行FIMが5点以上とした.対象には,ヘルシンキ宣言に基づき研究内容について十分に説明し同意を得た.信頼性について,上記対象のうち4名(平均年齢:56.75±17.04歳)に対して理学療法士1名が検査を実施し,その検査を4名の理学療法士(経験年数:2年目・4年目,各2名)が観察によって同時に採点することで検者間信頼性を検討した.妥当性については,各患者のMini-BESTest得点に対する基準関連妥当性を検討した.データ解析は,検者間信頼性を級内相関係数ICC(2,1),内的整合性をCronbachのα係数にて求めた.基準関連妥当性は,Mini-BESTestとバランス評価として利用されるBBS・TUG・FRTの相関係数を求め,指標とした.測定順序による影響を相殺するために,循環法によりMini-BESTestおよび各バランス評価の測定順序を並び替えた.なお,本研究で用いたMini-BESTestは日本語に訳してマニュアルを作成した.
【結果】
Mini-BESTest総合点のICC(2,1)は,総合点で0.95(95%信頼区間:0.82-1),セクション毎の得点は0.88以上であった.Cronbachのα係数は,総合点で0.89,セクション毎は0.73以上であった.各バランス評価との相関係数はTUG(r=-0.83),BBS(r=0.78),FRT(r=0.37)であった.
【考察】
Mini-BESTestはFRTとの相関が低く,より動的なバランス能力を要するTUGやBBSとの相関が高かった.Mini-BESTestは比較的に歩行能力が高い,回復期脳卒中患者において信頼性および妥当性が高いバランス評価スケールであるという事が示唆された.
【まとめ】
Mini-BESTestはバランス評価スケールとして高い信頼性と妥当性が得られた.
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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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