関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第31回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: 49
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脳卒中片麻痺患者におけるmCTSIBとバランス及び歩行能力との関連性
大河原 七生後閑 浩之臼田 滋
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抄録
【目的】
modified Clinical Test of Sensory Interaction in Balance(以下、mCTSIB)は視覚や体性感覚情報の利用を考慮した立位姿勢制御に関する評価法である。本研究の目的は、mCTSIB時の重心動揺測定とその測定結果のStage分類を実施し、バランス及び歩行能力との関連性を検討することである。
【方法】
対象は当院入院中の脳卒中片麻痺患者25名。取り込み基準は研究趣旨が理解可能で、上肢支持なしで立位保持が15秒間可能な者とした。本研究は当院倫理委員会の承認を得た上で進め、測定前に紙面にて同意を得た。
mCTSIBは、安定した床面(以下、FF)と発泡素材で不安定にした床面(以下、FR)にて、各開眼・閉眼(以下、EO・EC)の4条件で、それぞれ30秒間の静的立位保持時の重心動揺を測定した。重心動揺計(ANIMA社G-6100)の測定はサンプリング周波数20Hzとし、重心動揺計の結果は30秒間立位保持可能であった場合のみ採用した。mCTSIBの各条件において30秒間の立位保持の可否から、以下の5段階のStageに分類した。Stage1:全条件で立位保持困難、Stage2:FFEOのみ可能、Stage3:FF条件は可能だがFREOは困難、Stage4:FREOは可能だがFRECは困難、Stage5:全条件で立位保持可能。また、全ての対象者の表在感覚と振動感覚検査を各Semmes-Weinstein MonofilamentsとRydel Seiffer音叉を用いて検査した。バランス及び歩行能力の指標としてTimed Up and Go Test(以下、TUG)、Berg Balance Scale(以下、BBS)、Functional Ambulation Category(以下、FAC)を測定した。重心動揺計の結果は総軌跡長、前後・左右方向速度のRoot Mean Square(以下、RMS)について検討を行った。統計学的解析は、条件間の比較には一元配置分散分析後にTukeyの多重比較検定を行い、Stage間の比較はKruskal-Wallis検定を用い、有意水準5%未満とした。
【結果】
mCTSIBの総軌跡長はFFEO・FFEC・FREO・FRECの順に63.4±52.6、71.6±36.5、125.7±51.1、194.5±73.2cmとなり、全ての条件間に有意差を認めた(p<0.05)、前後・左右方向速度のRMSも同様に有意差を認めた。各Stageの人数はStage2が1名、Stage3が4名、Stage4が8名、Stage5が12名であった。総軌跡長・TUG・FAC・BBSは各Stage間に有意差を認め、Stageが高いものほどバランス及び歩行能力が有意に高くなった(p<0.05)。
【考察・まとめ】
閉眼や不安定な床面上では感覚の量・質が低下したことで、重心動揺が増加したと考える。Stage分類の結果とTUG・BBS・FACに関連性を認めたことから、mCTSIB各条件における立位保持能力が標準的バランス能力や歩行能力を反映している可能性が示唆された。
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© 2012 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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