関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第33回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: F-059
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ポスター発表(フレッシュマン)
放線冠の損傷部位より歩行の予後予測を行った1症例
*小林 美穂市村 大輔矢野 諭
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キーワード: 被殻出血, 放線冠, 予後予測
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抄録
【目的】 リハビリテーションにおいて、患者の予後予測は非常に重 要である。特に脳血管障害では様々な症状を呈する。脳画像 所見より症状を予測する報告は数多くあり、放線冠の損傷部 位により単麻痺が出現する事が報告されている。(Young. 2007) 今回、発症して1か月の画像所見より左被殻から放線冠に かけて血腫が拡大した症例を経験した。過去の報告をもと に、下肢の運動を支配する錘体路は放線冠や内包レベルでは 障害が少ない事を画像所見から確認した。このことより下肢 の予後が良好だと推測し、リハビリを積極的に行った。結果、 下肢の機能が向上した為ここに報告する。 【症例紹介】 44歳男性。朝、救急搬送される。診断名は左被殻出血であ り障害名は右片麻痺、高次脳機能障害、構音障害、失語症、 喚語困難を呈していた。保存的治療を行い、1か月後に当病 院へリハビリ目的で入院される。入院時ADLは移乗見守り、 歩行T字杖軽介助レベルであった。麻痺の程度はBr-stで右 上肢4、手指4、下肢5、筋力はMMTにて両下肢2~3レベル であった。表在感覚は右足底で軽度鈍麻であった。バランス 能力の指標であるFBSは29点。リハビリ内容として積極的に 運動療法を行った。 【説明と同意】 ヘルシンキ宣言に基づき、患者に説明し同意を得た。 【結果】 介入2週間後で麻痺の程度は右上肢5、手指5、下肢6と分離 性が向上、筋力はMMTにて両下肢4レベルまで向上した。 FBSでは53点に上がり、下肢の動作能力の向上が見られた。 【考察】 本症例は、介入当初は、立位のバランスが乏しく、歩行能 力低下へ影響していた。今回、放線冠の下肢への障害が少な かった為、下肢の予後は良好と判断し右下肢への訓練等を行 った結果、早期回復が獲得された。これは運動線維は放線冠 において体性局在的に配置していると過去の報告を肯定する ものであると考えられる。体性局在的に予後予測を見立てた リハビリ介入により、効率的なリハビリが提供できると示唆 される。
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© 2014 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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