関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第33回関東甲信越ブロック理学療法士学会
セッションID: F-060
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ポスター発表(フレッシュマン)
皮質脊髄路損傷は下肢の運動機能が回復するのか
~放線冠梗塞の一症例~
*小林 昂将市村 大輔矢野 諭
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抄録
【目的】 近年、脳損傷者の機能回復は多く報告されている。特にマ カクサルを用いて運動野損傷後の手の動作回復(Murata, 2008)や拡散テンソル画像を用いた内包後脚損傷の患者の運 動機能回復と赤核脊髄路のFA値の上昇が相関する(Takenobu, 2013)などリハビリテーションの有用性は神経科学的な 面からも示唆されている。しかしながらこれらを踏まえた症 例検討は乏しく、また動物を用いた基礎研究では上肢に関し ての報告が多い。そこで今回、皮質脊髄路の損傷を認めた症 例に対し、リハビリテーションを行い、特に下肢に対しての 運動機能回復を継時的に評価を行い、比較検討を行ったので 報告する。 【症例紹介】 60歳代、右利きの女性。倒れているところを発見され救急 搬送。右放線冠、右内包後脚梗塞が認められた。発症14日後、 リハビリ目的で本院へ転院。動作レベルはFIM78点、歩行は 軽介助レベルであった。アキレス腱反射、下肢病的反射はい ずれも陰性であり、左半身の麻痺は中等度(上田式グレード 6、Br-stステージ3)、また軽度の体性感覚障害を認めた。著 明な高次脳機能障害、認知機能障害は検査上認められなかっ た。 【説明と同意】 ヘルシンキ宣言に基づき、患者に説明し同意を得た。 【方法】 下肢への筋力訓練、裸足・装具での歩行訓練を積極的に行 い、下肢の随意性レベル、fanctional balance scale(FBS)、 歩行の動作分析を継時的に評価した。 【結果】 経時的に下肢の随意性レベル、FBS、歩行動作の改善がみ られた。 【考察】 経時的に下肢の随意運動、動作能力の改善が認められた。 脳血管障害後、ヒトにおいて下肢の機能回復は上肢と同じよ うな回復曲線を描くとの報告がある。(Duncan, 1994)今回 の結果は過去の報告(Takenobu, 2013)のような神経基盤の 変化があったのだと示唆される。理学療法においてこのよう な変化を見据え、患者様にあった治療プログラムを構築して いくことが重要であると考える。
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© 2014 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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