関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-122 在宅と医療機関との終末期の意義のとらえ方の相違
須藤京子
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キーワード: 在宅終末期, 医療機関, 連携
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p. 122-

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抄録

【目的】訪問看護ステーションでの訪問療法士の役割はなにか。他医療機関から終末期依頼は多い。看護師と同時に療法士が入る機会、診療情報提供が乏しいことも多い。この症例も他医療機関と連携が悪く、行動制限が長引いて希望が見えなかった事例である。今後の連携の在り方について再考したため報告をする。

【症例紹介】X 年12 月大学病院を退院。73 歳女性、要介護4。家族構成、要介護1 の夫、日中仕事の息子。介護状況は不良。病状S 状結腸癌、胸椎5 番転移。化学療法適応外。背中から右胸部の疼痛。両下肢完全麻痺(受容不完全)。浮腫、表在、深部感覚脱失。軽度鬱。体位交換不可。自宅退院を希望。自宅で暮らすための体制を最低限揃え退院。

【取り組み】「リハビリしたい」と泣く。退院診療提供書は今後の痛みの増強、骨折リスクが高く車いす移乗不可。の内容。「動くと背中の骨がバラバラになる。いつ息が止まるかわからない」と言われ恐怖あり。疼痛にはオキシコンチン、オキノーム。機能低下と比例し増強。把持力、ファスナーの開閉困難。全身低下が予測より早いため、看護師と相談し疼痛が弱い時間に車いす移乗を計画した。

【結果】脊柱のデータを欲しいと退院時前から申し入れ。往診医、他スタッフで連絡を続けたが、理由不明、返答がなく2 週経過。これ以上待てず、「庭がみたい」の計画をデータも無く車いすの移乗が可能か、医師を中心に相談。短時間の了承で20 分間施行。

【考察】X 年1 月、救急搬送先で呼吸困難で死亡。骨折リスクで車いす不可。このエビデンスの理解できず、活動開始が遅れた。終末期は本人の希望が影響を大きく与えると考えている。その人のQOL、医療機関の医療従事者のQOL とは何か。在宅では患者が主体であると考えている。この認識の相違は連携が取れなかったために際立った。

在宅での短期決戦を充実したものにするには医療現場からスタートをし、退院後は即受け継ぐ事を理想としたい。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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