関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-124 老健の繰り返し利用による身体機能向上,ADL 向上により在宅生活を継続した透析患者の1症 例
松本和高橋茉也上杉睦
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キーワード: 老健, 透析患者, 在宅生活
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p. 124-

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抄録

【はじめに・目的】 透析(以下HD)患者は週3 回の通院,3 時間程度のHD 治療による時間の制約から,日中のADL の低下が問題である.HD 患者が在宅生活を継続するためには,HD を継続しながら効果的な運動療法の実施が必要である.本研究では老健のリハビリ目的の入所を繰り返し利用し,身体機能,ADL の向上により在宅生活を継続した症例の1 年間の経過を報告する.

【症例呈示・経過】90 歳代,女性,既往歴は慢性腎不全,左右大腿骨頸部骨折等.転倒による疼痛のため玄関の階段昇降困難となりリハビリ目的での老健に初回入所後5 ヶ月後に在宅に退所となる.4 ヶ月間の在宅生活の後,階段昇降能力の向上と自宅内歩行の安定を目標に再入所した.リハビリ内容はマシントレーニング,エルゴメータ,階段昇降,歩行練習を週7 回実施.評価項目はFIM 総得点,膝伸展トルク,TUG,5m 歩行速度であり,初回入所時,退所時,再入所時,再退所前に測定した.

【結果】FIM 総得点(点)は初回入所時97 が退所時に99 へ向上した.特に改善した項目は階段昇降であった.膝伸展トルク(kg/f)は初回入所時3.6,退所時11.2,再入所時9.8,再退所前に10.3.TUG(秒)は初回入所時84.0,退所時53.3,再入所時42.3,再退所前40.3.5m 歩行速度(秒)は初回入所時49.8,退所時27.6,再入所時17.6,再退

所前14.0 であった.

【考察】 本研究の結果より,老健に繰り返し入所しリハビリを積極的に実施することで長期的にADL,身体機能が向上した.特に本症例では在宅生活で階段昇降の必要性があり,集中的に動作練習を行うことで,在宅生活が維持で

きた.HD 患者では運動療法におけるトレーナビリティが高い対象者が多く,リハビリの継続により在宅生活の継続が可能な対象者は多いと考える.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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