関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-127 全身振動刺激の単回施行が慢性期の脊髄疾患の痙縮とパフォーマンスに及ぼす影響
岡知紀佐々木慎照屋康治
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キーワード: 脊髄疾患, WBV, 痙性
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p. 127-

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抄録

【はじめに】慢性期の脊髄疾患患者において全身振動刺激(Whole body vibration:WBV)に対する痙縮抑制や他動関節可動域(以下ROM)改善の報告はあるが、パフォーマンスに対する報告は少ない。今回、慢性脊髄疾患に対しWBV の単回施行がパフォーマンスに及ぼす影響について検討した。

【方法】対象は、慢性期脊髄疾患患者10 名でModified Ashworth scale(以下MAS)が1 以上で10m 歩行評価見守り~自立で実施可能なもの。設定は、宮良らの報告をもとに姿勢は椅子上長座位にて、足関節最大背屈位の最大角度で保持し大腿部1/2 より遠位をPower plate(プロティア社製)上に接する形で刺激した。刺激条件は30Hz・振幅

4-8mm・5 分間とした。評価項目はMAS、ROM、10m 歩行速度、Functional Reach Test(以下FRT)を測定。統計学的解析は、Wilcoxon の符号順位和検定を用い介入前後の数値を示した。優位水準は5%とした。

【説明と同意】今回の発表に際し、対象者に目的について十分に説明を行い、当院倫理委員会より承認を得た。(承認番号船H27-62)【結果】MAS は下腿三頭筋(前:2.0±0.6、後:1.3±0.4、p<0.05)・ハムストリングス(前:

2.0±0.6、後:1.2±0.4、p<0.01)・股関節内転筋(前:2.1±0.7、後:1.4±0.6、p<0.05)と有意な改善をしめした。

ROM は足関背屈ROM(前:0.5±6.8、後:3.5±6.6 度)・Straight Leg Raising test(前:74.5±5.4、後:83.5±6.7 度)において優位な改善を示した(p<0.05)。下肢運動機能は10m 歩行速度(前:9.8±2.5、後:9.3±2.4m/min)と優位な改善を示し(p<0.05)、ケイデンス(前:1.8±0.2、後:1.9±0.2step/min)では優位な改善は見られなかった。FRT は(前:22.7±4.7、後:23.9±4.8cm)と優位な改善を示した(p<0.05)。

【考察】Chan らによるとWBV により運動ニューロンでのΙa 求心線維の影響が減弱したことで痙縮抑制され、これによりパフォーマンスが向上したと考える。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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