関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-132 スポーツ選手の内側円板状半月板に対する形成的切除術の臨床成績とリハビリテーションの実 際
江川智広石川大樹前田慎太郎栗原秀平福原大祐平田裕也宮崎拓真
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p. 132-

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抄録

【はじめに】円板状半月板は正常半月板と比較し分厚く大きな形状を示し,その発生頻度は5~15%と報告されている.外側円板状半月板(LDM)がほとんどであり,内側円板状半月板(MDM)は大変珍しく報告は散見する程度である.我々は,スポーツ選手のMDM 症例10 膝を経験したので,その臨床成績とリハビリテーションの実際を報告する.

【対象と方法】対象は2004 年~2015 年までにMDM に対して形成的切除術を行った7 例10 膝とした.平均年齢は

31.0 歳(13~56 歳),男性5 例8 膝,女性2 例2 膝.術後経過観察期間は平均6.4 ヶ月(4~12 ヶ月)である.検討項目は術後合併症,ROM,受傷前と復帰後のTegner Activity Score(TAS) ,スポーツ復帰時期とした.本研究は当院の倫理委員会の承認を得て行った.

【リハビリテーション】術後は可及的に全荷重を許可した.トレーニングは,関節水腫等の炎症所見が無いことを医師と確認を取りながら段階的に行った.術後2 カ月頃より自転車とジョギングを開始し,徐々にステップ動作やジャンプ動作を開始した.愁訴が残存する症例には必要に応じて足底板を挿入し,術後4 カ月前後でスポーツ復帰を許可した.スポーツ復帰基準は関節水腫がなく,Mc Murray test 等のmeniscus sign が陰性であり,各種スポーツ動作で疼痛がないこととした.

【結果】術後にOCD,再損傷や再手術症例はなかった.ROM は術前屈曲151.5±4.7°が術後154.5±1.6°,伸展は術前後ともに1.3±2.2°であった.またTAS は受傷前,復帰後ともに6.3±2.0(3~9)であり,全例元のスポーツレベルに復帰できた.スポーツ復帰時期は平均4.5±0.7 カ月であった.

【考察】結果から,MDM の形成的切除術後は慎重なリハビリを行い,4~5 カ月で合併症もなく全例元のスポーツレベルに復帰可能であった.しかし,LDM と比較すると若干復帰が遅れる傾向にあり,静的・動的下肢アライメントやスポーツ特性なども考慮して,さらなる早期復帰を検討していきたい.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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