関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-136 廃用症候群患者の疾患別におけるADL 能力の違いについて
五十嵐祐介中村智恵子平山次彦中山恭秀
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p. 136-

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抄録

【目的】多様な症状から構成される廃用症候群(以下廃用)は主となるタイプ分類などが無く、介入効果などの検証を行うためには身体機能に対する特徴を様々な視点から探る必要がある。先行研究では廃用症状や算定区分で身体機能を比較している報告や原疾患別による転帰についての報告が見られているものの、原疾患別から見た身体機能の違いに関する報告はみられない。原疾患では各疾患で身体機能に及ぼす影響は異なり、更に重症度など様々な要因が関連すると考えられる。今回は原疾患ごとの分類でADL 能力を比較し疾患による傾向があるのか検討することを目的とする。

【方法】対象は廃用と診断され入院前の日常生活自立度でランクJ に分類される患者106 名とした。このうち、廃用に至った原疾患に対し先行研究を参考に7 群に分類(呼吸器疾患、悪性新生物、循環器疾患、腎尿路生殖器疾患、内分泌・栄養・代謝疾患、消化器疾患、その他)した。各群の年齢、理学療法介入(以下介入)時及び転院・退院時Barthel Index(以下BI)得点とその変化値、入院から介入までの期間をKruskal-Wallis 検定にて比較した。なお、本研究は当大学倫理審査委員会の承諾を得て施行した。

【結果】入院から介入までの期間では悪性新生物が呼吸器疾患、循環器疾患、腎尿路生殖器疾患、その他と比較し有意に大きい値を示した。これに対し年齢や各時期のBI 及びBI 変化値は全ての群間で有意差はみられなかった。

【考察】入院から介入までの期間にて悪性新生物と4 つの原疾患群で有意差がみられたものの、ADL 能力では各時期での有意差はみられなかった。これより廃用患者のADL 能力を検討する場合、疾患別の分類からではなく原疾患の重症度やそれに伴う安静度など他の要因からの検討を行う必要があると考える。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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