関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-137 中学生男子サッカー選手における股関節内転筋損傷の発生因子に関する研究
宮澤伸渡邊裕之増間弘祥溝渕鷹嗣望月裕太
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p. 137-

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抄録

【目的】股関節内転筋損傷はサッカーにおけるキック動作で最も発症しやすい筋損傷の一つである.しかしながら,股関節内転筋損傷の発生因子については不明な点が多い.本研究のデザインは股関節内転筋損傷の発症に関連する因子をメディカルチェック(Medical Check: MC)の結果から検討する後ろ向きコホートとした.

【方法】対象は中学生男子サッカー選手58 名(身長:164.2±5.8cm,体重:51.5±5.8kg,BMI:19.1±1.3)とした.MC は下肢筋柔軟性(下腿三頭筋,ハムストリングス,大腿四頭筋),全身関節弛緩性テスト,股関節内転及び外転筋力について行なった.6 ヶ月間の観察期間を置いて股関節内転筋損傷の発生の有無を調査し,非損傷群(41

名),損傷群(5 名)の2 群に分類した.統計学的解析は2 群間における各検査項目についてMann-Whitney のU 検定を用いて比較した.本研究は指導者,選手,保護者にMC の説明と同意を口頭と書面にて行った.

【結果】各MC 項目のうち,蹴り足ハムストリングスの筋柔軟性は損傷群が45.00±11.73°,非損傷群が

53.90±7.29°と損傷群で有意な低下(P=0.050)が認められ,関節弛緩性は損傷群が2.60±0.82 点,非損傷群が

1.68±0.97 点と損傷群で有意に高値(P=0.049)を認めた.

【考察】中学生男子サッカー選手は筋柔軟性と関節弛緩性の観点において先行研究による成長期のスポーツ障害因子と類似した結果が得られた.また,蹴り足ハムストリングスの柔軟性低下はキック動作時の股関節内転筋起始部周辺への反復ストレスを生じ,損傷の発生リスクが高まると考えられた.

【まとめ】中学生男子サッカー選手における股関節内転筋損傷の発生因子として高い関節弛緩性と蹴り足ハムストリングスの柔軟性低下が関与していることが示唆された.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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