関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-139 手関節の位置関係が肩甲帯の筋活動に与える影響
横村太志川井誉清
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キーワード: 手関節, 肩甲帯, 筋活動
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p. 139-

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抄録

【はじめに】臨床において、手関節の肢位により肩甲帯の筋活動が変化することを経験する。手関節の位置の違いによる肩甲帯の筋活動に関する報告は少ない。そこで、本研究の目的は、手関節の位置関係が肩甲帯の筋活動に与える影響を検討することとした。

【方法】対象は健常男性成人(年齢29.1±5.3 歳)9 人9 肢とし、全例利き手とした。測定項目は、手関節を中間位、掌屈位(PF)、背屈位(DF)に設定し、肩関節90°外転位における肩甲骨周囲筋の筋活動を測定した。測定肢位は、肘伸展・前腕中間位にて、2kg のダンベルを把持し肩関節外転90°での等尺性収縮にて5 秒保持を3 回行った。測定筋は、僧帽筋上部線維、僧帽筋下部線維、菱形筋、前鋸筋とし、表面筋電図(ノラクソン社製マイオトレース

400)を用いて計測を行った。筋電図から得られた結果の中間の3 秒を用い、筋活動の全波整流を行った。PF およびDF を手関節中間位で正規化し、統計学的処理はSPSS version 17 .0for Windows を用いて、対応のあるt 検定を用い、有意水準は5%とした。

【説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、被験者には十分な説明を行い、同意を得た上で測定を実施した。

【結果】僧帽筋上部線維はPF:108±11%、DF:102±15%、僧帽筋下部線維はPF:108±8%、DF:104±19%、菱形筋はPF:101±10%、DF:0.93±9%、前鋸筋はPF:96±13%、DF:102±10%であり、菱形筋および前鋸筋で有意差を認めた。

【考察】 ThomasW.Myers は、手掌を床面に向けると上肢後面、小指球筋、上腕三頭筋、腱板、菱形筋に沿って配置されると述べている。そのため、手掌を床面に向けるPF で菱形筋が優位とり、背屈に関しては、小指球筋の影響が減少するため、唯一の肩甲骨外転作用を持つ前鋸筋の筋活動が増加したと考える。手関節掌・背屈の違いにより、肩甲帯筋活動に影響を与えるため、治療やADL 指導においても考慮する必要があると考える。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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