関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-138 卓球競技における傷害発生に関係する因子の検討
信澤麻美高橋裕司鈴木学青木啓一郎大澤彩鈴木貞興
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p. 138-

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抄録

【目的】卓球競技は、一般的に傷害が少ないスポーツといわれている。奥脇(2012)は、11 競技(野球、バスケットボール等)の傷害発生率は約9.2%と報告している。卓球競技においては、小中学生の傷害発生についての報告はなされている。しかし、トップレベル選手のみが対象となっている。また傷害を発生させる要因を検討した先行研究は、我々が渉猟した限り確認することができなかった。本研究の目的は、卓球競技における傷害発生状況と傷害発生に関係する要因について検討することである。

【対象および方法】A 県B 市内の卓球部に所属する中学生および高校生237 名を対象に、郵送式、自記式質問紙法にて実施した。調査票の内容は、卓球の練習内容と傷害発生に関する内容の15 項目であり、自由記載と5 件法の回答とした。統計処理は、傷害の有無と傷害発生の要因との関係について、統計ソフトJMP Ver.を使用し、二項ロジスティック回帰分析を行った。有意水準は5%未満とした。本研究の実施に際し、対象者へ研究目的、プライバシーの保護、参加の拒否及び中止の自由、分析結果の開示などを文書にて説明し、返信をもって同意とみなした。

【結果】調査票は144 名から回答を得た(回収率60.8%)。卓球競技における傷害発生率は、16.7%であった。傷害発生を説明する変数の中で統計学的に有意であったものは、1 日平均休憩時間(p=0.0015)と1 日平均フットワーク練習時間(p=0.00117)であり、オッズ比はそれぞれ0.931、1.035 であった。

【考察】卓球競技における傷害発生率は、他のスポーツよりも大きかった。休憩時間を多く取ると傷害発生は少なくなり、フットワーク練習時間が長くなると傷害発生が多くなることがわかった。本研究は卓球競技における傷害発生に対する理解の一助になると考える。本研究の限界は、競技レベル、傷害発生部位の特徴を検討できなかったことである。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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