関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-144 立位前方リーチ動作課題に対して異なる言語教示が即時的に及ぼす影響
鈴木尭之橋立博幸櫻井貴紀小嶌弓果近田正幸藤澤祐基齋藤昭彦
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p. 144-

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抄録

【目的】動作時における注意の向け方に関する言語教示 (自己の身体への注意 (IFA 教示)、身体外への注意

(EFA 教示) の付与は効果的な運動学習を促す1 要素と考えられているが、先行研究によって報告されている結果が異なっている。本研究では、立位前方リーチ動作課題に対して異なる言語教示が即時的に及ぼす影響について検証することを目的とした。

【方法】対象は健康な若年男性40 名 (平均21 歳) であり、立位前方リーチ動作を、言語教示をせずに実施する通常条件、IFA 教示を付与するIFA 条件、EFA 教示を付与するEFA 条件の合計3 条件にて行った。測定項目はリーチ距離、上前腸骨棘移動距離、大転子移動距離、肩峰-外果のなす角度 (A-M 角度)、肩峰-大転子のなす角度

(A-T 角度)、大転子-外果のなす角度 (T-M 角度)、前後・左右の各足圧中心移動距離 (COP 前後移動距離、COP 左右移動距離) とした。本研究は対象者に研究の概要を説明し同意を得て実施した。

【結果】EFA 条件は通常条件と比べてリーチ距離、A-M 角度、A-T 角度、COP 左右移動距離が有意に高い値を示し、T-M 角度、大転子移動距離は有意に低い値を示した。一方、IFA 条件では通常条件と比べてリーチ距離、A-M

角度、A-T 角度、COP 前後移動距離、COP 左右移動距離が有意に低い値を示した。また、通常条件に対するIFA 条件またはEFA 条件の各測定項目の変化率を算出し、リーチ距離の変化率を目的変数、A-M 角度およびA-T 角度の変化率を説明変数とし、身長を調整変数とした重回帰分析を実施した結果、いずれの条件間の変化率においてもA-M 角度、A-T 角度の変化率がリーチ距離の変化率に対して有意な関連項目として抽出された。

【考察】EFA 教示では、基づく身体外部への注意により対象者の運動制御過程への意識的な干渉を少なくして自動的な運動制御が促進され、その結果として最大限の体幹前傾と身体の前方移動がなされたことによって即時的にリーチ距離が増加したと考えられた。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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