関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-155 Head Mounted Display アダプテーションに足底接地の有無が及ぼす影響
井出彰悟沼尾拓網本和市川恭兵
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p. 155-

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抄録

【目的】半側空間無視(USN)の治療に視野を水平面上で変位させるプリズムアダプテーション(PA)が報告されているが実際のUSN 患者では水平面だけでなく前額面上での変位も同時に起きているとされる。Head Mounted Display

(HMD)とweb カメラを使用することで、視野を水平面と前額面の三次元上で変位させることが可能となっている。水平面上(Yaw 角)でのPA 同様の効果は報告されているが前額面上(Roll 角)の効果は明らかとなっていない。体性感覚の情報を減らすことで視覚情報の比率を増やし、アダプテーションが優位に進むのではないかと考え、足底接地の有無によるアダプテーションの効果を検証した。

【方法】書面にて説明し同意を得た健常成人16 名を足底接地群と非接地群に分けた。介入の前後に評価課題として、カメラを正中に向けたHMD を装着し足底を接地または非接地させた座位をとり、前方に設置したタッチパネルの体幹正中、胸骨柄の高さを人差し指で指差す課題を10 回ずつ行い、自身の上肢が見えないよう視界を調節した。

介入は同様の肢位で胸部前方に4 点のターゲットを表示し、目視しつつランダムに計48 回指差しをさせた。HMD に装着したカメラを水平面上で右へ、前額面上で反時計回りにそれぞれ10 度傾けた。介入前後での指差し位置のずれを計測した。

【結果】足底接地群は介入前に比べ介入後には水平面上で35±23mm 左へ偏倚していた(p<.01)。足底非接地群は水平面上で33±7mm 左へ 、前額面上で43±26mm 下方へ偏倚していた(p<.01)。

【考察および結論】両群とも水平面上のアダプテーションは有意に生じていたが、体性感覚情報の影響のある前額面上の視野変化に対しては、臀部、足底と体性感覚情報の多い足底接地群においてはアダプテーション効果が認められず、臀部のみの足底非接地群は有意なアダプテーション効果が示された。症例に適用する場合にこのような足底接地の有無が重要な条件となると推察される。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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