関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-156 Body Lateropulsion を呈した症例に対する段階的立位保持評価と介入の効果
富田駿加藤宗規
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キーワード: Body Lateropulsion, 脳梗塞, 立位
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p. 156-

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抄録

【目的】Body Lateropulsion(以下,BL)を呈し,立位保持困難となった症例に対し,段階的難易度調整を用いた評価と介入を実施し,その効果について検討した.

【方法】対象は80 歳代女性.診断名は左中脳~視床梗塞であった.右上肢には軽度運動麻痺を認めたが,下肢には認めなかった.感覚は右上肢のみ深部・表在覚とも軽度障害であった.初期評価(3 病日)ではBurke Lateropulsion Scale(以下,BLS)が13/17 点であり,立位では右側後方に傾き立位保持が困難であった.3 病日から

6 病日の立位保持練習は平行棒片手支持及び両手支持にて実施したが,介助を要した.そこで7 病日より段階的難易度調整を用いた評価と介入を開始した.目標を1 分間の立位保持とし,前方に鏡を設置した状態で支持物を段階的に変更した.支持物の段階は,段階1:縦手すり,段階2:平行棒片手支持,段階3:両手掌支持,段階4:片手掌支持,段階5:支持物なしの5 段階であり,段階の引き上げ基準は1 度でも1 分間の立位保持に成功した場合と

した.本研究はヘルシンキ宣言に則り,当院生命倫理審査委員会の承認を得て行い,症例と家族からも承諾を得た.

【結果】17 病日に段階4 での立位保持に成功し,介助者1 人でのトイレ介助が可能となった.退院となった33 病日時点において段階5 での立位保持は困難.BLS は立位項目の改善は認めず10/17 点であった.

【考察】理学療法を実施した30 日間において,BLS の立位項目評価では改善を認めず,理学療法への動機づけにもネガティブな影響を及ぼす可能性もあるとともに,トイレが1 人介助で可能となった変化をBLS では説明できない.段階的難易度調整を評価と介入に用いることにより,比較的短期間で立位改善を確認すること,および日常生活活動にも反映することが可能となるため,BL を呈する症例に有用であると考えられた.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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