関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-158 足漕ぎ車いす使用が回復期脳血管障害者の歩行に与える影響
尾崎将俊村井政夫磯部貴光村田知之沖川悦三菅野達也柏原康徳山本澄子
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p. 158-

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抄録

【目的】近年、既存のペダリング機器とは異なる足漕ぎ車いすが登場した。足漕ぎ車いすはペダリング装置を漕ぎながら、ハンドル操作することで前後・左右への移動が可能である。本研究の目的は、回復期脳血管障害者に対して足漕ぎ車いす使用が即時的に歩行速度の変化に及ぼす影響を運動学、運動力学的に分析することである。

【方法】足漕ぎ車いすはProfhand、計測機器は三次元動作解析装置、床反力計を使用した。対象は回復期脳血管障害者7 名。計測課題は足漕ぎ車いす使用前後の最大努力下の歩行3 施行及び足漕ぎ車いすペダリング計測とした。統計学的処理は、足漕ぎ車いす使用前後の歩行の時間距離因子・運動学・運動力学的パラメーター、ペダリング運動の麻痺側と非麻痺側の時間因子を比較するため有意水準5%としWilcoxon の符号順位和検定を用いた。

【倫理上の配慮】本研究は当院の倫理審査委員会の承認を得て行った。

【結果】歩行速度は使用前1.1m/s から使用後1.3m/s に有意な増加が認められた。床反力では、歩行周期における麻痺側踵離れからつま先離れの麻痺側床反力前方成分が使用前1.7N/kg から使用後2.0N/kg になり有意な増加が認められた。関節モーメントでは,歩行周期における麻痺側踵離れからつま先離れの麻痺側股関節屈曲モーメントが使用前0.9Nm/kg から使用後1.1Nm/kg になり有意な増加が認められた。ペダリング動作の各相における所要時間では、下肢関節伸展から屈曲に移る相が非麻痺側に比較して麻痺側で長くなる傾向があった。

【考察】ペダリング運動において下肢最大伸展から屈曲に切り替わる時期で麻痺側の所要時間が長くなる傾向があった。この切り替える動作は,歩行周期中の麻痺側の踵離れからつま先離れの相に類似している。よって、下肢の伸展から屈曲に切り替える動きへのトレーニング効果が麻痺側股関節屈曲モーメント、麻痺側床反力前方成分増加に繋がり、歩行速度が増加したと考えられた。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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