関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-159 歩行神経筋電気刺激装置とゲイトソリューションデザインを使用した歩行練習の即時的効果
米村祐輝川嵜康太呂善玉田中亨典池田智子金野千春小池友佳子
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p. 159-

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抄録

【目的】我々は第51 回日本理学療法学術大会において,脳卒中片麻痺患者に対する歩行神経筋電気刺激装置

(帝人ファーマ株式会社,ウォークエイド,以下WA)とゲイトソリューションデザイン(以下GSD)の併用(以下WA+GSD)による歩行練習の即時的効果について報告した.本研究では,WA とGSD の効果をより詳細に分析する為,GSD のみとWA+GSD の歩行練習による筋活動の変化を検証した.

【方法】対象は脳卒中片麻痺患者5 例(男性5 名,平均年齢59.8 歳)とし,下肢Brunnstrom Recovery Stage3~5,下腿三頭筋の筋緊張はModified Ashworth Scale1~3 であった.介入は対象者ごとにGSD のみとWA+GSD の歩行練習を各30M 行った.それぞれ別日に実施し,間に未実施日を1 日設けた.計測は Gait Judge System(パシフィックサプライ社製)と表面筋電計を用い,介入前後の10M 歩行所要時間と麻痺側前脛骨筋,腓腹筋の筋活動を測定し,麻痺側遊脚期の各筋の積分値を算出した.統計処理はWilcoxon の符号付順位検定を用い,各介入前後で比較した.有意水準は5%とした.

【倫理的配慮】本研究は,当院生命倫理委員会の承認を受け,対象者には書面にて同意を得て実施した.

【結果】WA+GSD 介入前後において腓腹筋の筋活動に有意差を認め,介入後は筋活動が減少した.GSD のみ介入前後の腓腹筋の筋活動,WA+GSD,GSD のみ介入前後の前脛骨筋の筋活動に有意差は認めなかった.また,

10M 歩行所要時間は数例の改善は認めたが,各介入前後で有意差は認めなかった.

【考察】WA の効果として皮質脊髄路を刺激し拮抗筋の痙性の改善を認めると報告されていることからも,本研究の結果は,WA により麻痺側遊脚期に腓腹筋の筋活動減少を可能とし,脳卒中片麻痺患者に対する歩行練習の一手段としての有効性を示唆するものと考える.しかし,10M 歩行所要時間については歩行速度の向上に至らない例もあり,WA の効果を活かす適応例について検討していく必要がある.

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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