関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-161 産官学連携による地域での運動器機能評価に基づくスクリーニングからの介入を含めた介護予 防事業の試み
宮本恵理三浦隆原田悠平中村豊
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p. 161-

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抄録

【目的】神奈川県大磯町において、大磯町、東海大学、アルケア株式会社の三者による産官学連携での運動器機能評価と介護予防教室を併せたモデル事業を実施し、その有効性を検証する。

【方法】大磯町の特定健康診査参加者のうち、同意の得られた513 人に運動器機能評価(ロコモ度テストとアルケア社製訓練機能付下肢筋力測定器『ロコモスキャン®』による大腿四頭筋を中心とした下肢筋力測定)を行い、基準以下の結果を示した者および希望者の合計85 人を対象に半年間、月一回の介護予防教室(強度別運動指導、健康講話、レクリエーション)を実施した。教室では初回と最終回の各種機能測定に加え、毎教室開催時に下肢筋力測定を実施し、その結果に応じて毎月の運動負荷強度を決定した。本教室は医師、保健師のほか神奈川県理学療法士協会から派遣された理学療法士の管理の下に開催された。本事業はヘルシンキ宣言に沿って行い、東海大学「人を対象とする研究」に関する倫理委員会において承認を得た上で実施した。

【結果】参加者の教室継続率は87%、データ取得率は81%であった。項目別の結果では全体の87%が下肢筋力向上を示した。また、ロコモ度テストは65.2%が向上、23.2%が維持となった。ロコモ度テスト項目のうち身体的機能評価法である「立ち上がりテスト」、「2 ステップテスト」ではそれぞれ27.5%、44.9%の結果向上が認められ主観的評価法の「ロコモ25」では66.7%が改善傾向を示した。その他に、歩行速度、片脚立ちでは有意に改善傾向を示した。

【考察】地域レベルで運動器機能評価を行い、健康リスクを有すると思われる住民を対象に介護予防教室を開催することにより、参加者の健康を身体的指標・主観的指標の双方から向上させることができた。今回の定期的な下肢筋力測定による個人に適した負荷の運動指導が、参加者の無理のない運動継続につながり、運動器機能向上に貢献したと考えられる。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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