関東甲信越ブロック理学療法士学会
Online ISSN : 2187-123X
Print ISSN : 0916-9946
ISSN-L : 0916-9946
第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
会議情報

口述
O-160 回復期における脳卒中片麻痺患者の麻痺側および非麻痺側下肢筋力の変化と歩行自立度に ついての検討
野本真広矢倉千昭石川響鈴木大毅合田明生
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 160-

詳細
抄録

【目的】脳卒中片麻痺患者の麻痺側下肢筋力は歩行自立の独立因子であり,麻痺側膝関節伸展筋力は歩行能力と関連することから,歩行自立に影響する可能性がある.しかし,回復期における歩行自立度との関連を示した報告は少ない.本研究は,回復期リハビリテーション病院に入院中の脳卒中片麻痺患者を対象に,入院時と退院時の麻痺側および非麻痺側下肢筋力と歩行自立度との関係を調査した.

【方法】対象は,脳卒中片麻痺患者22 名(年齢70.5±12.9 歳,男性13 名,女性9 名)であった.患者の基本情報として,年齢,性別,疾患名,障害名,MMSE の点数,FIM の総得点,運動項目,認知項目の点数,移動項目の点数を収集した.下肢筋力は,入院時と退院時における麻痺側および非麻痺側膝関節伸展筋力を測定した.本研究は,聖隷クリストファー大学院の倫理委員会の承認を得て実施し(受付番号:15016),ヘルシンキ宣言に沿って研究を実施した.

【結果】歩行自立患者は,入院時13 名に対し退院時19 名であった.入院時歩行自立群の非麻痺側膝関節伸展筋力は,非自立群より有意に高い値を示した(p<0.05).入院時歩行非自立群と退院時歩行自立群では,非麻痺側膝関節伸展筋力が有意に高い値を示した(p<0.05).入院時および退院時歩行非自立群では,麻痺側膝関節伸展筋力が低下する傾向を示した.

【考察】脳卒中片麻痺患者において,入院時および退院時の非麻痺側膝関節伸展筋力は歩行自立に関係する可能性が示された.先行研究より,脳卒中片麻痺患者の歩行動作は,麻痺側および非麻痺側の膝関節伸展筋力が重要であると報告されており,脳卒中片麻痺患者の歩行自立に非麻痺側膝関節伸展筋力が影響を及ぼした可能性があると考えられる.

【まとめ】脳卒中片麻痺患者において,非麻痺側膝関節伸展筋力は歩行動作の自立に影響を及ぼす可能性があり,麻痺側の下肢機能だけでなく非麻痺側の下肢機能も評価していくことが重要である.

著者関連情報
© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
前の記事 次の記事
feedback
Top