関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-165 二次の介護予防事業における住環境評価の必要性
原田智史
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p. 165-

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抄録

【目的】山梨県A 市より委託された二次の介護予防複合プログラムに多職種と共に携わっている。今回、ある対象者からPT の専門性や住環境評価の必要性を考える機会を得て、今年度からは評価する体制を整えた。今後PT が介護予防に携わる際の指針の一助となることを目的に実践報告をする。なお本演題はヘルシンキ宣言を遵守し、対象者には説明と同意を得ている。

【対象】 対象は変形性膝関節症を罹患し、BMI 29.6 の74 歳女性で、「膝が痛い」「階段の昇り降りが大変」との主訴を持つ方である。問題点は、両膝関節の痛み、体重増、バランス能力低下、歩行能力低下。また、運動の為に行っている階段昇降が、過負荷の懸念があることや自宅内に段差が多く、浴槽も深いなど住宅環境にも問題があった。

【プログラムの提示と結果】膝の疼痛軽減及び持久力向上目的に筋力強化や座位ウォーキング、座位バランスなどのプログラムを提示した。3 か月後、長坐位体前屈、開眼片脚立位、5m 最大歩行、TUG に改善が認められたが、膝の痛みに変化はみられなかった。カンファレンスでは、保健師から「階段昇降を無理して行っており、自宅内に段差が多く住環境が整っていないため、運動よりも生活の安定が必要ではないか」という住環境評価の必要性を示唆する意見が出た。

【結論とまとめ】我々の関わりで、身体機能の向上や自立した生活の継続には繋がったが、住環境に対しては提案のみの指導となった。二次の介護予防は要介護状態の発生を防ぐことが目的であり、対象者は元来生活機能悪化のリスクを抱えている。二次の介護予防でPT に求められる専門性は「運動と生活を繋ぐ」ことであり、そのためにはPT が住環境評価と指導を行うことも必要である。A 市の理解もあり、介護予防事業として住環境評価を行う体制を整うことができたため、今後は住環境の視点も併せ持ち介護予防を実践していきたい。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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