関東甲信越ブロック理学療法士学会
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第35回関東甲信越ブロック理学療法士学会
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口述
O-166 通所リハビリテーション利用中の要介護者のIADL が運動機能の変化に与える影響
南條恵悟池田崇前田真吾
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p. 166-

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抄録

【目的】 通所リハビリテーション(通所リハ)ではFrenchay Activity Index(FAI)を用いた手段的日常生活活動

(IADL)の評価が推奨されている。FAI で測定される身体活動が地域高齢者の運動機能の維持に寄与することは報告されているが, 要介護者を対象とした報告は少ない。そこで本研究は通所リハ利用中の要介護者を対象としてIADL の程度が運動機能の変化に及ぼす影響を検討することを目的とする。

【方法】 対象は平成27 年5 月~平成28 年2 月の期間中に短時間型通所リハを利用した要介護者で, 6 ヶ月以上の利用があった32 名(平均年齢77.9±10.2 歳 男性14 名 女性8 名)とした。評価項目はFAI, Timed Up and Go Test(TUG), Functional Reach Test, 片脚立位保持時間, 高齢者用マシンによるLeg press, Hip abduction, Knee extension, Rowing の等尺性最大筋力の体重比とし, 後方視的に診療録より取得した。平成27 年5 月~7 月までの計測値を初回評価, 3 ヶ月後を中間評価, 6 ヶ月後を最終評価とした。統計解析は初期評価時の全対象者のFAI の中央値(14 点)を基準値とし, 中間評価時の時点で基準値よりも高い点数の対象者を高活動群15 名, 低い点数の対象者を低活動群17 名とした。群間での各評価項目の変化率の比較を対応のないt 検定を用いて行った。変化率は, 最終評価の値を初期評価の値で除し100 を乗じた数値(%)とした。統計学的有意水準は5%とした。本研究はリハビリケア湘南かまくら小倫理委員会(16-01-006)の承認を得て実施した。

【結果】 TUG の変化率が高活動群(93.4±15.1%)に比べ低活動群(102.9±10.4%)で有意に高値であり, その他の評価項目の変化率には群間で有意差は見られなかった。

【考察】 IADL の自立していない地域高齢者で歩行習慣や外出頻度の低下が歩行速度等の低下を招くとは報告されている。本研究の結果から, 低活動の要介護者は定期的な機能練習をしていても移動能力の低下を招き易い可能性が示唆された。

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© 2016 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
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